エンタメ不感症の患部に巻く包帯

ゴーストリコン ワイルドランズ(steam版) 〈感想・レビュー・評価〉

 

トレーラー

 
点数:80点
 
 

メモ

 
・オフ専なのでソロプレイのみ
 
 
 

短評

 
 カルテルの4つの部隊を全て壊滅させてミッション達成率を100%にし、2つ目のエンディングを見るまで約40時間弱ほど。ストーリー性が極端に薄いという弱点があるものの、UBIらしい舞台設定選びの妙や、最先端のセンスが凝縮されているオープンワールドステルスTPSシューター。
 
 
 

あらすじ

 
 ボリビア政府と不可侵の密約を交わし、警察・判事・政治家を買収し国内に一大麻薬帝国を築く麻薬カルテル“サンタ・ブランカ。そんなボリビアで在アメリカ大使館に対する爆弾テロと、コカイン取引の潜入捜査をしていたアメリカのDEA(麻薬取締局)捜査官が拷問の末殺害される事件が続け様に発生。この件を受けアメリカはサンタ・ブランカをただの南米のいち麻薬カルテルから麻薬テロリストへと脅威度を改め、特殊部隊ゴーストボリビア国内に送り込むことを決定。強大な組織であるサンタ・ブランカを内部から壊滅させ、カルテルを率いるカリスマ的リーダーであるエル・スエーニョを引きずり出し捕らえることを目的としたキングスレイヤー作戦が実行される。
 
 

ウォルター・ホワイト→生産部隊

 
 今作は同じUBI作品であるディビジョンと似たようなアプローチで、舞台と大まかな状況や背景となる設定だけが用意され、ストーリーの推進力はほぼ無しという作り。広大なボリビアのマップにはカルテルの幹部が支配する難易度が設定されたエリアが20近くも用意され(幹部が設定されていない地域もある)、プレイヤーがどのエリアをどのように攻めるのかを自由に選択可能。やることは単純で片っ端からエリアごとのメインミッションをこなして幹部を排除し、カルテルの勢力を削いでいくというただそれだけ。
 
 各地域を支配する幹部やさらにその上にいるボスなどは全員4つの部隊のどれかに属しており、
 
プロパガンダ部隊・・・・・・カルテルを美化するブログを書くブロガーや、カルテルの素晴らしさを語るラジオDJ、カルテルを賛美する歌を歌うナルコ・コリード歌手、カルテルのために戦えば魂が救済されると説く司祭など、カルテルの犯罪組織としての側面を隠蔽し、世間的なイメージ向上を図る集団
 
密輸部隊・・・・・・陸・海・空のブラジル、アメリカ、ヨーロッパなどへの麻薬の輸送ルートを取り仕切る密輸や資金洗浄のプロ集団
 
護衛部隊・・・・・・新兵を訓練する元アメリカ陸軍レンジャーの教官・元医者の拷問大好き夫婦、カルテルが殺害した死体を水酸化ナトリウムでドロドロに溶かして消し去る死体処理担当など、兵士の育成、殺し、拷問、死体処理など、カルテルのウェットワーク全般を受け持つ集団
 
生産部隊・・・・・・大量のコカインを作るための大規模なコカ畑を運営する地元の農家や、高品質のコカインを作るためのレシピを考える天才化学者など、カルテルが販売する高品質な麻薬製品の原料を作ったり、最新設備で麻薬製品を大量生産する集団
 
の4つで、これらの部隊のどれかを好きな順で潰していき、2つの部隊まで潰し終わるとリーダーであるエル・スエーニョのミッションに挑めるようになるという作り(エンディングは二つあり、全ての部隊を潰してミッション達成率を100%にすると二つ目のエンディングがオープンする)。
 
 ディビジョンと同じで、ストーリーはあってないようなもので極端に薄いですが、非常にバラエティに富んだ特異な経歴や役職の幹部メンバーが大変魅力的で、組織としてキャラがめちゃくちゃ立っており、カルテルへの興味は安定して持ち続けられます。
 
 
 

 メインミッション軽量化の功罪

 
 プレイ開始直後はCo-op要素が前提ということもあるのか、オフラインとオンラインを簡単に切り替えられるタイプのマルチプレイ用ゲームにありがちな、あまり操作そのものからもたらされる感触に独自のこだわりや美意識が徹底されていない味気なさを覚え「これはハズレかな・・・・・・」とガッカリしました。ですが、操作性周りが無難であっさりしているというだけで、別段他のTPSに比べ劣っているとか動かし辛いということもなく、自然と慣れてしまいます。
 
 今作の大きな特徴は、Co-opであることが反映されてかメインミッションの一つ一つが非常に細かく割られている点。長くても10~15分程度、短いとほんの2~3分で一つのメインミッションが終わるため、メインミッションなのにも関わらずほとんど普通のゲームで言えばサブクエストをこなしている様な感覚です。この小刻みなメインミッションは長所・短所がはっきり別れ、悪い部分はボリュームが全てサブクエスト程度で微量なため、各幹部メンバーのエピソードの掘り下げが浅く感じる点。そして良い部分はテンポよくサクサク進むため、リズミカルでゲームプレイが停滞しない点。
 
 自分はオープンワールドのゲームをやるとメインミッションが終わり次のミッション開始場所に移動する際、また長時間拘束されて受け身のプレイを強要されるのかと思うとどうしても億劫に感じ、そこらに散らばっているアイテムを探して回ったりサブクエストをこなしたりと束縛が無く楽しいフリープレイに逃避し、メインミッションに挑むのを先延ばしにしようとする傾向があります。しかし、今作のようにほとんど数分で終わるサブクエスト風メインミッションだらけだと、まったくと言っていいほど拘束されている不自由さを覚えず、次のミッション開始エリアに向かうことが苦になることもなく新鮮でした。
 
 普通ならメインミッションに挑む際はある程度モチベーションを高める必要がありますが、このフリープレイをする際のリラックスして肩の力が抜けた状態のままメインミッションに挑めるような作りは、長年オープンワールドゲームをやる際に感じていた、次のメインミッション開始場所に向かう際の重い足取りを幾分身軽なものとしてくれました。
 
 しかも、一応ステルスゲームなのにも関わらずステルスを強制してくる様なミッションは稀で、ほとんどのミッションはドローン(空を飛ぶマルチコプタータイプ)で敵情視察してからターゲットを順にサイレントキルしながら進もうが、いきなり撃ち合いを始めてゴリ押ししようが自由なので、またしてもメインミッションの強制性や束縛感をうまく緩和してくれます。ただでさえメインミッションというだけでも緊張を強いられる上に、ステルスというアクの強いジャンルが否応なく持つ、受け身でステルスプレイをやらされるといった窮屈さは強力です。ですが、ほとんどのミッションでステルスプレイをするかしないかをプレイヤーに一任させてしまうため、窮屈さを極力封じ込めることに成功しており好印象でした(これはCo-op前提のため複雑なステルスを回避するためなのかも?)。
 
 オープンワールドゲームにおけるメインミッションとは軽い登山の様なもので、登頂に成功し下山すると疲労が蓄積しており、余力がある場合は即次の山に挑めますが、場合によっては次の山に登るまで多少の休憩が必要になります。標高が高ければ高いほど達成感も強まる反面負担も増し、休憩期間が増えたり、辛かったり退屈だった体験が蓄積することにより次第に山に登ることそのものへの飽きや躊躇が生じ始めることも。この苦痛を和らげるためにサブクエストという標高の低めな山だったりハイキングコースだったりを大量に配置し、気晴らしをさせるのが普通なのに、今作はほぼ全ての登山が標高の低い山だけに限定されているので、達成感は全体的に控え目なものの、負担が最低限しかありません。
 
 このプレイヤーに対する拘束や強制、負担を極力削ってしまうというやり方は、ゲーム体験そのものを薄めてしまい逆効果にしかならない場合のほうが多いと思いますが、ゲームプレイの感触が常にスポーティーで爽やかさを伴うようなUBIだとしっくりきてしまうので、オープンワールドの一つのスタイルとして、メインミッションを軽量化してしまうというのも、これはこれでアリだなと感じました。
 
 麻薬カルテルといういくらでも重苦しく描ける題材なのにも関わらず、こんな口当たりが良く飲みやすいスポーツドリンクのような作品に仕上げてしまうUBIには脱帽させられます。アサシンだろうとハッカーだろうと麻薬戦争に投入される特殊部隊の隊員だろうと、なんでも見境なくスポーティーにしてしまうUBIのセンスからますます目が離せなくなりました。
 
 

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塩湖

 

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塩湖上空を舞うフラミンゴの群れ PS2トリノホシをこのグラでやれたら最高だろうなぁ

 

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雪のような岩塩

 

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不満あれこれ

 
 ヘリ移動を前提としたとてつもなく広いマップなのにウォッチドッグスと同じで乗り物を手配すると出鱈目な場所に届けられる、Co-op前提システムなので敵にやられた際に味方が蘇生してくれるまで延々と待たされて辛い、など、細かい不満は無数にあるものの、その中でも突出しているのがミッションを失敗してから再スタートまでの手間の掛かり具合です。
 
 一応ステルスゲームなので、普通のシューターに比べたら体力が低くて死にやすく、かつ完全ステルスで敵に見つかった瞬間ゲームオーバーになるものや、ターゲットに逃亡されたらゲームオーバー、護衛対象が殺害されたらゲームオーバーになるなど、初回時は高確率で失敗する様なミッションもそこそこ多いです。ですが、失敗してチェックポイントから再開となると、なんとミッション開始場所から数百メートル(遠いと800~900メートルの時すらある)離れた場所からということがほとんど。オマケにオープンワールドなので、そもそもロード自体が長めで、毎回失敗したミッションを再開するまで長いロード+十数秒程度の移動を余儀なくされ続け、ストレスが半端ではありません。
 
・基本はステルスなのでゲームオーバーになりやすい→ゲームオーバー時にチェックポイントから再開できるまでのロードが長い→ロードが終わって再開するとミッション開始エリアから数百メートル離れた場所から再スタート→ミッション開始エリアまでひたすらダッシュ移動→(最初に戻る)
 
 ミッション内容によっては、このサイクルを一つのミッション中何度も何度も繰り返すこともあり、出来れば再スタート地点だけでもミッション開始エリアにもう少し寄せて欲しかったです(ロードの長さよりも何度も同じ場所をダッシュさせられるほうが辛い)。
 
 
 

まとめ

 
 カロリーが高めなゲーム体験は皆無ですが、相変わらずUBIの颯爽としたセンスの良さを堪能できる素晴らしい作品でした。
 
 
UBIのオープンワールドゲーム