エンタメ不感症の患部に巻く包帯

龍が如く4/伝説を継ぐもの 〈感想・レビュー・評価〉

 

トレーラー

 
点数:75点
 
 

短評

 
 クリアまで約25時間ほど。4人の主人公でオムニバス形式の様な語り口を採用するなど、チャレンジ精神は垣間見られるものの、結局3の素材をほぼそのまま使い回しているため斬新さはほぼ皆無。3で感じたシステム周りの不満はあらかた解消されプレイしやすくなったものの、マンネリやシナリオセンスの低下が深刻な領域に入り出した。
 
 
 

華麗なスタートダッシュを決めたのに……

 
 今作は一作目からお馴染みの主人公である桐生一馬の他に3人の初登場キャラを加えた計4人の主人公がおり、ドラゴンクエスト4の様に第一部から第四部まで一部ごとに主人公が交代していき、ラストである第五部で全員が合流するという形式。舞台は神室町(かむろちょう)に固定されており、他の街は登場せず。
 
 プレイ開始直後、第一部の主人公である秋山のエピソードが始まると、初めて一作目をプレイした時と非常によく似た懐かしい神室町の匂いがし驚かされました。2や3は桐生一馬という一作目の主人公がそのまま継続していたので、わざわざ一からキャラを立てる必要がなく、良くも悪くも過去作を知っている前提の作りでしが、今作は新主人公のキャラを再び一から構築しなくてはならない分、一つ一つの描写が非常に丁寧で、これが一作目に近い雰囲気を醸す要因になっているのだと思います。冒頭から雨に濡れしっとりと艶(つや)やかな神室町の美しいビジュアルを見せたり、桐生一馬とは異なり極道ではなくカタギの金貸し(兼キャバクラオーナー)である秋山の視点から描かれる神室町が斬新だったりと、非常に好感触な立ち上がりで「これはもしかしたら傑作かも!?」と期待させられました……が、結局最後までプレイするとその期待は一過性のものでした。
 
 神室町のマップはほぼ3の使い回しで、屋上エリアや地下エリアという新エリアも追加されてはいますが、基本の印象はそれほど変わらず。今作は神室町という街そのものよりも、街の在り様を見つめる視点の役割を果たす主人公サイドに工夫を凝らすというアプローチで、カタギの金貸しや、25年ぶりにシャバに出て神室町に戻ってきた極道の死刑囚、神室署生活安全課の不良刑事など、桐生とは異なる神室町観を有する人間達の街との繋がりを掘り下げることで神室町にいつもとは異なる光の当て方をしています。このおかげで、マップ自体はほぼ3の再利用でしかないのに、格段に神室町という舞台そのものにドラマが生じ、なるほど街ではなく視点となる主人公の立ち位置のほうを変えてしまうという選択肢も有りだなと納得。
 
 ただ、結局4人の主人公が抱える事件は掴みはうまくて程よく先が気になるものの、謎が明らかになっていくと同時に荒い脚本が露呈し足を引っ張りだすので、後ろに行けば行くほど話への興味が失せてしまうのは3と一緒。2や3の様にヘンテコな国際組織が出てきて無理に話のスケールをでかくしたりという展開がない分、話運び自体は落ち着いており好ましかったのですが、問題は演出の下手さや、サスペンスやミステリーのテクニックがあまりにも稚拙すぎて直視に堪えない箇所が多量に存在する点。今作はシリーズの中でも群を抜いてサスペンスやミステリー的な展開・トリックを登場人物を極端にバカかマヌケに設定することで成立させるという呆れるほど低レベルな作りで、頭がキレる人間がさらに一枚上手なキレ者に巧妙に騙されるなどという手に汗握る展開は皆無。とにかくうかつなキャラの注意不足で事態が悪化したり、誰でも気付きそうな不自然さに気付かないなど、登場人物達の知能指数や認知能力を下げまくることで本来なら成立しないはずである展開を強引に成立させるというお粗末この上ないやり口が続くため、もはやゲームをやっているこちら側がバカにされている気分にすらなります。
 
 他にも、最初の秋山はまだいいとしても、他の新主人公2人分キャラ紹介が入るためその都度停滞しもたつきを覚えたり、もはやラスボス戦が因縁も何も薄すぎてほとんど空気だったり、2から登場したあるキャラが特に掘り下げられもせず悪者サイドとして扱われ不快だったりと、終わってみると“インファナルアフェア”ごっこのシナリオは散々で目も当てられません。
 
 
 

変化に乏しいマンネリシステム

 
 主人公が4人になったことで、それぞれ戦闘スタイルが変わるということをウリにしたいらしいですが、そもそも龍が如くシリーズはバトルシステムの出来があまりよくないので、それに4人分のバリエーションを持たせたところで特に意味があるとも思えません。土台の出来が悪いシューター系のゲームで新しいハンドガンが追加されようが、サブマシンガンが追加されようが、アサルトライフルが追加されようが別段つまらないことに変わりがないことと一緒。
 
 3で不満だった武器クラフトでレシピを持っているのに完成品がリストに表示されないという状態は改善されたものの、今度は4人の主人公で桐生以外は使えない武器が多いとか、主人公が変わると所持アイテムが全てリセットされるため次の主人公に武器を持ち越せないとか、主人公が4人制になったことでマイナス要素が格段に増えてしまい、結局あまり存在感を発揮できないのは同じ。クラフト系のシステムは、RPG(成長要素)と絡めたり、そもそも多種多様な物が販売されるお店が豊富にあったり、素材をミニゲームややり込み要素の景品にしたり、サブクエストの報酬と連動させたりと、非常に龍が如くシリーズと相性が良さそうなシステムなのになんでこんなオマケの様な扱いなのか疑問です。
 
 やり込み要素は、3で初登場したキャバ嬢を店のNo.1に育てるという軽めの育成SLGであるキャバつくが多少システム周りが便利になった程度の改修でほぼそのまま収録されているのと、格闘家をつくろうというパワプロサクセスモード風というか、モンスターファーム風というか、格闘家にトレーニングの指示を出しステータスを上昇させトーナメントで勝たせるという要素が追加され、なぜかやたら育成SLG押しの謎のバランスです。自分的には2のキャバクラ経営の様な軽めの経営SLGで、かつ神室町の雰囲気を強化してくれるようなタイプのほうが好みで、キャバつくはまだいいにしても、格闘家をつくろうは正直本編の雰囲気を強化するような働きをしないので、それほどのれませんでした。システムそれ自体はそこそこ面白いものの、これをやったからといって別段神室町への印象が変わるわけでもなく、だったら良くできた育成SLGを別個にやればいいだけにしか思えません。龍が如くミニゲームややり込み要素はシステム単体でどうこうより街の魅力を強化してくれるかどうかのほうが重要で、これはやや逸脱気味に感じました。
 
 
 

まとめ

 
 秋山駿という桐生一馬に負けず劣らずの魅力を備えた主人公を創造できたのは儲けものですし、ラストで桐生一馬が主人公となると圧倒的なカリスマ性で前半3人の主人公の印象をぶち抜く貫禄を発揮することで、やはり龍が如くシリーズは魅力的なキャラクターに支えられている面が大きいことに改めて気付かされたりと、得るものもありました。
 
 ただ、序盤は傑作なのではないかと期待させるほどバランスが整っていたのに、中盤以降は3の素材の使い回しが露骨でやたら貧乏くさかったり、相変わらずシナリオが破綻気味で余韻が最悪だったりと、終わってみると欠点ばかりがやたら印象に残るのは3とほとんど同じで、もう一作目のセンスはどこかに消え失せてしまったのかもしれないという不安は拭えないまま。
 
 
 
 
龍が如くシリーズ

 

 

 

龍が如く4 伝説を継ぐもの

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