エンタメ不感症の患部に巻く包帯

アサシンクリード ローグ(steam版) 〈感想・レビュー・評価〉

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トレーラー


点数:80点
 
 

短評

 
 クリアまで約20時間弱ほど。全体的に4のシステムを整理整頓しただけのようなこぢんまりとした印象。主人公がアサシン教団からテンプル騎士団に寝返り仲間だったアサシン達を殺して回るという衝撃的な設定の割にシナリオは淡泊で、盛り上がりに欠ける。よくできた4の海戦要素をそのまま受け継いでいるため、システム的には相変わらず楽しいものの、目新しさはほぼ皆無。
 
 
 

海賊を廃業し暗殺者に復職・・・・・・しかし、どうしても海賊の影が付き纏う

 
 システム的にやることは4とほぼ変わらないものの、やはり主人公がテンプル騎士団に寝返るとはいえ、基本は終始アサシンなので4のような海賊の船長が突然ステルスし出すというような設定とシステムが噛み合っていない違和感は若干後退し、いつものアサシンクリードに近い感触に戻りほっと一息。ただ、今度は主人公がアサシンとなったため、4では違和感がなかった海賊行為のほうが設定から浮く結果に(なぜかアサシン教団に比べ組織規模で圧倒的に上回っていそうなテンプル騎士団が海賊行為を働き物資を強奪しまくる)。
 
 やはり4でも感じたそもそも地味なステルスと派手な海賊行為というまったく別の方向性のシステムが雑居してしまっているという違和感が4に比べやや薄まりはしたものの根本的には改善されていません。結果、設定とシステムが他人行儀にお互いの顔色を窺い続けるというあまり良好ではない関係性となってしまっており、残念。
 
 システム周りは、全体的に4で面倒だった部分を簡略化・高速化し、快適性を確保するという方向性でほぼ一致しており、プレイはしやすくなったものの、そこまでの変化は感じられず。どうしても4の延長線上でしかなく、4と同じことをもう一度やらされるという印象から脱しません。
 
 後は、2にあった街(建物の改築)に投資すればするほど銀行口座に定期的に振り込まれる収入が増えていくシステムが復活し、これが海戦で強奪する物資や、今作から追加されたギャングのアジトを潰して街を解放していく要素や、被支配状態にある入植地を解放する要素と連動したりと、2に比べてよりシステムの厚みが増しており、好感触でした。
 
 やり込み要素は4に比べるとかなり整理整頓され遊びやすくなっているものの、やや4の煩わしさを取っ払うことだけに終始しているため、今作らしさが希薄です。4にはシステム的にはイマイチでそれ自体は別段楽しいものでなくとも、4の雰囲気にはバッチリ合い、よりゲーム体験を豊潤なものとしてくれるような細々とした要素がたくさんありました。しかし、今作は本編やゲームの満足度そのものには絡まないものの、それがあるだけで遊び心や洒落っ気を堪能できるような要素が乏しく、やや味気ない印象です。
 
 
 

寝返る動機付けに失敗したため、致命的な問題を孕んだ主人公

 
 シリーズで最も衝撃的なはずのアサシン教団のアサシンがテンプル騎士団に寝返り、仲間だったアサシン達を殺害していくことで元いたアサシン教団支部の一つを壊滅に追い込むという話なのに、思っていたより淡泊でガッカリでした。その原因は、アサシン教団の教えに忠実だったアサシンが教団のやり方に疑問を抱き裏切るという、シリーズ中でも最も丁寧で繊細な脚本力を要求されるはずの場面が、ただ単にコミュニケーション不足であっさり仲違いしたようにしか見えず、教団の信条という絶対の方針と、主人公の信条がぶつかり相容れなくなってしまったという描写があまりにも弱すぎて、仲間達を殺していくという展開に感情移入ができない点。
 
 もっと序盤で主人公の考え方とアサシン教団の考え方が微妙に食い違うという描写を積み重ねつつ、テンプル騎士団側の主張にやや心惹かれてしまうといった伏線を丁寧に張り、アサシン教団に対する不信感がある一点で爆発し教団に対する激しい怒りに転化するというプロセスにしっかりプレーヤーを感情移入させないと、このストーリーはそもそも成立しないはず。
 
 今作は、主人公のシェイがアサシン教団に失望し、仲間と道を違えるという何がなんでも説得力を持たせて成立させなければならなかった部分を適当に描いてしまったせいで、シリーズ中最も感情移入困難な主人公となってしまっており、テンプル騎士団側に寝返った後も、この主人公の言動にイマイチ納得できないまま進むため、物語としては過去最低クラスのガッカリさでした。キャラの掘り下げ不足は、いつものシリーズに比べるとボリュームが少な目なことの皺寄せもあるでしょうが、教団への未練を引き摺り続けるにしても、激しい怒りで一気に離反するにしても、設定の過激さに対して、脚本がまるで追いついていません。これならまだ3と今作にも再登場するヘイザムのほうが冷徹かつ紳士的で、プロフェッショナルに徹しており、テンプル騎士団の理念を体現する暗殺者としては魅力的です。ヘイザムを超える魅力を備えたキャラクターを創造できなかった時点で、今作は3の前日譚という、過去シリーズに依存する弱々しい作品に落ち着いてしまった感があります。
 
 
 

不満あれこれ

 
 今作でもっともストレスフルなのは、アサシン教団が放ってくる追跡者。コチラがステルス中だろうがおかまいなしに襲撃してくるため、ステルス中で大衆に紛れている→追跡者に襲撃され戦闘に→それに反応してパトロール中のイギリス軍兵士がアラート状態になって襲ってくる、という、周りの敵を連鎖的に巻き込んでアラート状態にされるため迷惑この上ないです。これは、1に出てきた街中でアルタイルを見つけると突然突き飛ばしてくるNPCを思い出したほどで、お願いですからステルスゲームでステルス中に敵に発見される様な妨害行動をしてくる邪魔なNPCを出さないで欲しいです。
 
 後は、相変わらず4と同じでステルス要素はゆるゆるな難易度でイマイチですが、今作はさらにそこに前作の吹き矢の代わりに追加されたエアライフル(空気銃)に爆竹ダートという敵の注意を逸らしてくれる便利な弾が追加されたり、さらにさらにあろうことか範囲攻撃可能なグレネードランチャーまで加わり、もはや敵の観察など一切不要で、ひたすらエアライフルとグレネードランチャーだけで全ての敵を無効化できるため、一体何をしたいのか作り手の意図を図りかねます・・・・・・簡単すぎるステルスの難易度をさらに下げてどうしたいのでしょうか?
 
 
 

まとめ

 
 4のシステムを使い回し、やや大雑把に4の続編と3の前日譚を兼ねる作品をでっち上げただけの様なあまり志の高い作品ではありませんが、さすがに完成度の高い4のシステムベースなため、単純なゲームとしての面白さは折り紙付き。
 
 ただ、アサシンクリードシリーズでは3派の自分としては、ローグ単体ではイマイチだったものの、3の物語に深みを与える前日譚としては楽しめました。劇中でアキレスの亡くなった息子の名前が出てきただけでもう涙腺が刺激される始末。今作をプレイすることで、アキレスがスターウォーズのオビ=ワンのように弟子の気持ちを察してあげられなかったせいで大勢の同胞を死に至らしめてしまったという過去が追加され、より3でコナーという素晴らしい後継者と出会い、一人前のアサシンとなるまで導いてあげられた奇跡が際立つようになりました。
 
 
 
アサシンクリードシリーズ

 

実写映画版

 

 

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