エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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ライトニングリターンズ ファイナルファンタジー13(steam版) 〈感想・レビュー・評価〉

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プレイムービー

 

点数:75点
 
 

短評

 
 クリアまで約40時間ほど。FFシリーズなのに一部ブレス・オブ・ファイアⅤやアトリエシリーズベイグラントストーリーのコンセプトを想起させるようなシステムで、見た目は派手なのに志向しているものは渋いというアンバランスさが特徴のシンボルエンカウントRPG。バトルシステムはシリーズでもかなり上位の出来なのに、全体的にシステム群がぎくしゃくしてうまく噛み合っておらず、やや歪な印象の作品になってしまっている。
 
 
 

ブレス・オブ・ファイアⅤ+アトリエシリーズ+強くてニューゲーム=歪なゲーム

 
 ブレス・オブ・ファイアⅤのように攻略に詰まるか制限時間を迎えたら最初からやり直しという周回プレイスタイルをベースにしながら、そこにアトリエシリーズのような複数の同時進行するクエストを管理する要素や、ゲームを最初からやり直す際にステータスの成長分を持ち越せる強くてニューゲームを足すという、とてもFFシリーズとは思えないシステム構成で、最初はかなり戸惑いました。さすがにブレスオブファイアⅤのように初回プレイでは到底クリアできず、複数回のやり直しを強制される、というほどの難易度ではなく、やや手こずる敵もいるものの1週目でも普通にクリア可能です。
 
 ゲームにタイムリミットが設定されており、否応なく制限時間を意識させられるというFFシリーズの中ではかなり窮屈とも取れる異質なプレイ感覚のシステムな上に、それに付随するシステム群がいまいちベースのコンセプトをアシストできておらず、終始ぐらぐらして安定しない座りの悪さのようなものを覚えます。
 
 ゲーム内には自由に移動可能な4つの広大なエリア(エリア内はシームレスで移動可能)があり、それぞれにメインクエストとサブクエストが設定されており、それぞれのエリアのメインクエストをこなすというのが目的です。攻略順はプレーヤーが自由に決めてよく、ゲーム内時間によって発生するクエストのタイミングが異なるため、あるエリアで19:00に発生するクエストまでは違うエリアを探索して時間を潰そうなどと、エリアごとのメインクエスト発生時間を考慮しながらプレイの計画を立てます。ただ、制限時間がある割りにはゲームのテンポは非常にのんびりしており、別段メインクエストやサブクエストを同時進行させるのにてんやわんやするということもなく、かなり適当にプレイしてもメインクエストは簡単に達成可能で、やや拍子抜けでした。
 
 このゲームテンポの不要なのんびりさが、なぜか制限時間というプレーヤーに対するプレッシャーをわざわざ用意しているわりに生じてしまっており非常に不快です。本来はもっとシステムの志向的にハードスケジュールで忙しくないとおかしいはずなのに、システム的に実現しなければならないテンポ感と実際のゲームをプレイしている際のテンポが噛み合っておらず、コンセプトがぶれている様で気持ち悪いです。
 
 
 

惜しい成長システム

 
 今作は敵を倒しても経験値が得られず、そもそもレベルという概念もありません。メイン・サブクエストを達成することで、直接HPや物理攻撃力・魔法攻撃力が上昇していくという変わった成長システムを採用しており、そのためメインクエストはもちろんのこと、サブクエストも積極的にこなしていかないとステータスが上昇してくれません。なのでメインクエストの合間にも時間が許す限りサブクエストに取り組むのですが、これが若干作業感が強く、飽きてきます。確かにクエストクリア=即ステータス上昇という非常に魅力的なインセンティブのため、ただお金が貰えるとか、少量の経験値が貰える程度のよくあるサブクエストに比べるとモチベーションは高めなものの、いかんせん成長の自由度が皆無で、ただ決まったステータスが上昇するだけなので、主人公のライトニングを成長させているという実感がいまいち湧きません。
 
 経験値やレベルという概念を無くし、クエストクリアに成長要素を連動させてしまうというアイデアは、今作と同じで経験値もレベルもないベイグラントストーリーの、ボスを倒すとルーレットでステータスがランダムで上昇するというシステムを想起し、嫌いではありません。特に今作は戦闘しなくても達成可能なサブクエストも多く、海外のRPGと同じで非戦闘系のサブクエストをこなしてもステータスは上昇するため、戦闘一辺倒にならず、プレイに幅が生まれ好印象でした。ただ、上記したように、クエストクリアと成長を連動させるというコンセプトはそのままで、もう少しスキルツリーなり、FFシリーズなのでスフィア盤でもクリスタリウムでも何でもいいのでプレーヤーが介入可能な自由度の高い成長システムさえ用意できていれば満足度は跳ね上がっていたのに勿体ないです。
 
 
 

防御は最大の攻撃

 
 FFシリーズではオーソドックスなATBゲージを用いたリアルタイムなもののアクション性はなくコマンド選択のターン制に近い作りだった13や13-2と異なり、今作からATBゲージはそのままにスターオーシャンやテイルズ・オブシリーズのように戦闘中にプレーヤーがある程度バトルフィールド内でキャラを操作可能なアクション性を持たせたタイプに変更されました。ただ、移動速度が極端に遅く、攻撃もボタンに割り振られたアビリティを入力すればほぼ自動的に行われるのでアクション性といってもガード以外はほとんどオマケのようなもの。
 
 今作も10-2のドレスフィアシステムの応用系という13シリーズのバトルシステム路線を踏襲してはいるものの、やや落とし穴があり、13や13-2をプレイした後だと、前二作の記憶がシステム的なミスリードになり、苦労します。それは何かと言うとガードです。13や13-2はどちらかと言うと攻撃主体のバトルシステムで、ひたすら相手をブレイクするため攻撃しまくる様な仕様でしたが、今作は攻撃以上にガードが重要になります。
 
 自分は当初これが分からず、最初の数時間くらいは攻撃メインの戦い方をして無駄に回復アイテムを消耗していましたが、途中で「敵を早く倒そうとするより的確に攻撃をガードするほうが有利なんだ!」と気づき、敵の動きを観察し、攻撃に移る前の予備動作に反応し素早くガードに意識を切り替えるというスタンスに変えると被ダメージ量が大幅に減少し、ラクになりました。
 
 13や13-2は一時的にディフェンダーにロールチェンジして猛攻を凌いだり、HPが減ったらヒーラーにロールチェンジして回復できたり、そもそもバトル終了後にHPが自動で全回復する仕様のためさほどHPを温存するという発想がありませんでしたが、今作はバトル終了後のHPの自動回復は無く、回復アイテム所持数もそれほど多くないため、ほとんどの攻撃をガードすることが必須となるバランスです。感覚としてはモンスターハンターに近く、敵が攻撃に移ろうとしているのにひたすら張り付いて攻撃ばかりしていたら敵の攻撃に巻き込まれ大ダメージを喰らうのは当たり前で、攻撃を一発でも多く叩き込もうとするより、相手を観察し、いかに攻撃を防ぐのかのほうが重要になります。
 
 
 

ベイグラントストーリーになり損ねたバトルシステム

 
 13と13-2におけるロール(FFシリーズでいうジョブのようなもの)が今作ではスタイルというものに変更されました。これはパーティメンバーがいなくなりライトニング一人だけでの戦闘になったため、これまで各キャラに分散されていた役割を一人でこなせるよう、ロールの設定を細かく弄れるようにしたようなシステムです。ウェア(コスチューム)と武器・防具・アクセサリー・アビリティをそれぞれスタイルごとに設定し、これを3つまで登録することで、戦闘中3つのスタイルを自由にいつでも変更可能となり、これらを敵や状況に応じて高速に切り替えながらのバトルが基本となります。
 
 物理攻撃が有効な敵には物理攻撃重視のスタイルをぶつけたり、属性攻撃が有効な敵には有効属性のアビリティ(ファイアやサンダー、ブリザドなど)を持つスタイルに交換したり、強力な攻撃を防ぐためにガード性能に特化したスタイルに交換したり、など。それぞれのスタイルには個別のATBゲージが設定されており、これが丁度スタミナゲージの役割を果たし、ATBゲージを使い果たしたら他のスタイルに交換し、またATBゲージがなくなったら交換……を延々とローテーションしていくシステムです。ATBゲージは控えの状態になると高速で回復するため、1つ使用中に他の2つは高速で回復し続け、ほぼストレスを感じさせないスタイル交換が可能。
 
 このシステムに触れて自分が一番初めに連想したのがベイグラントストーリーの武器交換システムでした(次いでペルソナ)。敵の弱点などに応じて武器を交換しながら戦うというシンプルなのに快感が伴うベイグラントのバトルシステムがハイスピードバトルに進化したような錯覚すら覚え、最初は嬉しかったのですが、プレイしているとやはり力点の置き所がずれていることに気づき、ベイグラントほどは好きになれませんでした。
 
 今作のバトルにおける最大の問題は一部の敵のバカみたいな固さです。この世の中のあらゆるバトルシステムの魅力を殺し尽くす、バトルの面白さをウリにするゲームにとって最恐最悪の天敵である固い敵が、今作のベイグラントに匹敵したのではないかと思える魅力的なバトルシステムを見事に破壊しています。
 
 同じ敵を何十回も何百回も攻撃させられ、同じ戦闘中にノックアウト状態という前二作におけるブレイクのような防御力が激減する状態に2回も3回も4回もしなくてはならず、もううんざりです。国産ゲームの敵を固くしてバランスを調整するという病理によって魅力的なバトルシステムが殺されてしまっています。
 
 弱点を攻撃することを重視するシステムなら、ベイグラントの種族値や属性値のような弱点攻撃時のダメージ量を増加させるようなステータスが別個欲しかったとか、属性攻撃を強化するエンチャント系かステータス強化系のアビリティも欲しかったとか、もうそんな細かい願望を抱くのもバカバカしくなるくらい敵の固さで疲れ果てました。
 
 この世の中から敵が固くて難儀するゲームがなくなることを願うばかりです。
 
 
 

不満あれこれ

 
 本来ならFF13-3と付くはずのFF13シリーズの三作目ですが、13や13-2のコンセプトを継承するかのようにプレーヤー完全置いてきぼりのストーリー展開で、もはや話を理解できようができまいがあまり作品評価には関係ないのではないかと思えるほどシナリオは酷いです。
 
 なぜFF13シリーズは安定してこれほどまでに低クオリティでダサい演出やら、1ミリたりとも興味を持てないどうでもいいノイズなだけのストーリーを産み出せるのか本気で考えさせられました。一体どこの誰に向けてこの物語は紡がれているのか本当に謎です。
 
 
 

まとめ

 
 基本のバトルシステムは魅力的で、システムも全体的には完成度は高くないもののこれまでのFFシリーズとは違うことをやろうと挑戦しているので、あまり悪い印象は覚えませんが、ダメな部分がとことんダメなので、とても手放しでは褒められない珍作です。
 
 
 

余談

 
 順番が発売日と逆になってしまいましたが、先にプレイしていたテイルズ・オブ・ゼスティリアは今作に非常に大きな影響を受けたのだということが分かりました。国産RPGと海外RPGエッセンスをミックスさせようとして従来の持ち味から逸脱しやや歪になっている点や、敵の弱点を突くためにパートナー天族をリアルタイム交換しながら戦うバトルシステムなど、今作と酷似する点が多いです。
 
 突然テイルズっぽくなくなり驚かされたゼスティリアの変貌の謎が分かりスッキリしました。