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エンタメ不感症の患部に巻く包帯

好きなものについて語るブログ

ドラゴンクエストビルダーズ / アレフガルドを復活せよ(PS3版)

 

OPムービー

 

点数:80点
 
 

短評

 
 ドラクエであることを最大限生かし、自由度を捨て、親切さを選んだ、最初から最後までおつかい要素だけで構成されたマインクラフトベースのサンドボックスゲーム。
 
 

おつかいに始まりおつかいで終わる、そんなおつかい大好きユーザーの受け皿

 
 自分は指示待ち人間体質なのか、マインクラフトもテラリアもアーク/サバイバルエボルブドもこの手の自由度が高すぎる、目標設定がないクラフト+ビルディング系のサンドボックスゲームはほぼ例外なく肌に合わずプレイ開始数時間程度で飽きて止めてしまうのですが、今作はまったく飽きることなくクリアまで集中力が持続しました。
 
 今作は最初から最後まで徹底しておつかいだけでゲームが進行します。どんな物を作るのかも、どのように配置するかもほぼ指示通りに行わなくてはならず、マインクラフトというよりもどちらかというとダーククラウドダーククロニクルジオラマパートの自由度を上げたような印象に近いです。新しいものを創造するのではなく破壊された街を復元するというコンセプトも、未来の世界で破壊された建物を現代で復活させるというダーククロニクルとほぼ同じ趣旨なので、どうしても印象が被ります。
 

 
 
 好きなものを自由に作るという趣旨の割には終始おつかいゲーム特有のやらされている感が付き纏いますが、それでもいきなりサンドボックス世界という暴力的な自由度が法の荒野に放り出され「好き勝手にやれ」と放置されるよりは数段マシで、ほぼ飽きることもなく的確にプレイヤーに目的を提示し、クリアまで導いてくれます。
 
 プレイする前は漠然とマインクラフトのようなゲームが好きな人を狙っているのかと想像していましたが、プレイすると印象は真逆で、むしろマインクラフトのような極端に高すぎる自由度を負担と感じ苦手とする自分の様な人間こそをターゲットにしているのだということが分かりました。
 
 
 

ドラクエとの思い出が触媒として作用

 
 マインクラフトと同じ、全てがボクセル(サイコロの様な形のブロック)で表現されるボクセルベースのマップのビジュアルは、最初は見知ったドラクエの世界とはまったくの別物でさすがに違和感がありましたが、プレイしているとすぎやまこういち音楽力が半端ではなく、音楽が醸し出す濃密なドラクエ感であまり見た目自体は気にならなくなります。この音楽を聴くだけで体がドラクエに対応したリアリティラインを許容する姿勢へと変化する様は自らのドラクエ漬けの人生を振り返るキッカケともなり、中々感慨深いものがありました。
 
 今作はドラクエというシリーズをプレイしてきたプレイヤー側の記憶を最大限活用するように作られており、アイテム名はお馴染みのやくそうやこんぼう、かわのたてなどで、初めて目にする大量のアイテム名や素材名などをわざわざ覚える苦労を軽減してくれます。ストーリーは初代のラストで勇者が「世界を半分やるから仲間になれ」という竜王の提案を受け入れてしまったため荒廃したアレフガルドという設定にし勇者はなぜそんな選択肢を選んでしまったのかという謎をクリフハンガーとしたり、精霊がしきりに「あなたは勇者ではない」という意味深なメッセージを発し、それは普通のゲームならさほど響かないようなセリフでも、ことドラクエともなると非常にナラティブな感触をともない不穏に残響したりと、いかんなくドラクエらしさを利用し、この手のサンドボックスゲームには決定的に欠けている物語体験を強化してくれます。
 
 
「30年以上の歴史を誇るドラクエをなめるなよ!」
 
 
 という、歴史の積み重ねを最大の武器として行使するスタンスが非常に効果を発揮しており、プレイしやすさや取っつきやすさだけで言えば、システム面・シナリオ面で他の似たジャンルのゲームを軽く凌駕しています。
 
 

不満あれこれ

 
 プレイ中は基本は時間を忘れてしまうほど楽しくはありますが、システム的には問題が山積しており、とても手放しで褒められたものではありません。
 
 まず、ドラクエシリーズ特有の心地よい作業感を伴う要素をお金稼ぎやレベル上げ(RPG的な成長要素)からクラフトに変えたことはまだ良しとして、問題は非常に退屈なリアルタイムアクションバトル部分です。アクションとして退屈な上に、武器の種類が近接武器のみで、ほぼ最初から最後まで同じような武器を使い続けるため、飽きが早く、かつ敵を倒しても経験値ではなくアイテムやクラフト素材しか入手できないため、後半使えない素材しか落とさない敵は倒す意味もないため邪魔でしかありません。出来ればもう少し敵との戦闘にインセンティブと、プレイヤーが自分の好みの戦い方が出来るように剣だけでなく槍や斧やムチや魔法といった武器・攻撃バリエーションが欲しかったです。ただ、テラリアなどをやった後だと武器がアイテムとは独立して存在しているため、武器交換が十字キーだけで簡単に行えるのはラクチンで好印象でした。
 
 その他にも、洗練されておらず使い勝手の悪いインターフェースやら、ブロックを設置する際に置きたい場所に中々置かせてくれないもどかしい操作性やら、せっかくブロックを自由に積み上げられるのならそれをしっかりダンジョン攻略に落とし込んで欲しいとか、メインストーリー進行とビルディングを連動させすぎでもう少しやってもやらなくてもいいサブクエストなどを挟んで息抜きさせて欲しいとか、街が狭すぎて章の最初とラストでそれほど絵的に変化もなくりっぱに街が再建されたという達成感が出ないとか、プレイしている最中はあらゆる細かい部分に不満たらたらで、続編が出るなら改良して欲しいところ。
 
 しかし、今作最大の問題は全4章でそれぞれの章が終了すると今までやってきた作業が全てリセットされ次の章に移るというシステムです。最初はこれを知らずにプレイしていたので、1章が終わり2章に移ると今まで作ってきたものが次の章には反映されず、また同じことを一からさせられるという展開にかなり興が削がれ、プレイのモチベーションが激しく落ちました。そういうものだと納得さえしてしまえばゲーム自体は中毒性があり面白いので気にならないといえばならないですが、この章ごとに積み上げてきたものがリセットされモチベーションがぶった切られる感覚はどうにかして欲しいです。
 
 

まとめ

 
 マインクラフトやテラリアを途中で断念したことによって抱いたサンドボックスゲームへの苦手意識を楽しさに昇華してくれる、そんな作品でした。