エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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ファークライ3(steam版)

 

 

トレーラー

 
 
点数:80点
 
 

メモ

 
日本語化してプレイ
フルHD(1920×1080)、映像設定はウルトラ、60fpsでプレイ
 
 
 

短評

 
 クリアまで約20時間超ほど。UBIのオープンワールドゲームらしくシステムのインセンティブ(報酬)が弱めだが、ノリのいい作風と、テンポの良さを絶対の方針としたようなシステム周りの相性が抜群で非常に優れたバランスに仕上がっているアクション特化型のオープンワールドステルスFPS
 
 
 

インセンティブ不足を操作の快楽性で強引にカバー

 
 UBIやロックスターのオープンワールドゲームは、ベセスダのエルダースクロールズやフォールアウトなどのような自由度の高い成長システムなど、プレイのモチベーション維持をサポートしてくれるような強力なインセンティブ要素を実装しているワケではなく、どうしてもプレイ中はストーリーを追うだけでシステム的には物足りなさが付き纏うのですが、しかし今作はオープンワールドにしては破格な操作性の良さから来るシューターとしての魅力が強力で、相変わらずのインセンティブ不足をやや強引にステルスアクションやシューティングの楽しさがカバーしているのが特徴的です。植物の採取や野生動物の狩りと連動させた手軽に出来るクラフトは好印象として、ほとんどアクションの強化と拡張に特化したような深みも自由度も選ぶ喜びもさほどないスキルツリーも、バリエーションが乏しいカスタマイズパーツを装着するだけで今一つ物足りない武器カスタマイズ要素も、本来なら不満点としてカウントされそうなものですが、今作に限っては辛うじて優秀なアクション部分を補助するような働きをしているためインセンティブ不足を誤魔化せているといった印象です。
 
 今作は徹底的にテンポの良さを追求し、かつ管理されており、ファストトラベルも乗り物移動も、ステルスも銃撃戦も全ての要素がもたつかずに行われるためゲームプレイに躍動感の様なものがあり、息をつかせる瞬間がほとんどありません。話を進めるためのメインミッションをこなしつつ、UBIのオープンワールドゲーム(アサシンクリードなど)ではお馴染みの高い場所(今作では電波塔)に昇り、マップに精細な情報を表示させる要素、もしくは敵の占拠するアジトを襲撃し全滅させ、ファストトラベル用の中継点(ウェイポイント)とし活動範囲を徐々に広げる、という非常に分かりやすいプレイ目標も設定されており、次に何をすればいいのか迷いが生じる隙を与えません。
 
 
 

オープンワールドの贅沢さが味わえる地形演出

 
 自分がオープンワールドのゲームをやっていて最も贅沢だと思う瞬間は、目指している場所がかなり遠方にあるのにも関わらず展望が良くハッキリと視認でき、そこに確かにあるんだという存在の質量を感じ取れる時です。目標となる場所と今いる地点がエリアチェンジで断裂されておらず、地続きで繋がっているということに喜びを覚え、その感情があの場所まで何とか辿り着きたいという欲求に転化されます。
 
 今作では、マップに精細な情報を表示させるために昇る電波塔が遠景でも存在感を放ち、舞台となる自然豊かな島に彩りを添えています。
 今作は高い場所から乗り物扱いのハンググライダーや、後半はいつでも自由に使えるウィングスーツで滑空させたいためか、高低差がかなり激しいような地形をしているのと、自然豊かな無人島に電波塔という人工物は良い意味で場違いで目立つため、高所に建てられているそれが非常に目立ち、存在感を発しています。
 この地形デザインのおかげでうまく高い場所に聳え立つ電波塔へ意識が吸引され、その堂々たる景色から目を離すのが勿体なく感じられるほど。
 
 最初は高い場所にプレイヤーの意識を集中させ、電波塔を昇り終えると次に周囲の低い場所へ視線を誘導するという視線誘導テクニックの手並みも鮮やかで、ここまで地形の魅力的な見せ方に感心させられたオープンワールドゲームは初めてです。
 
 
 

作品のトーンとシステムを同期させる偉業

 
 デウスエクス/ヒューマンレボリューションをプレイした際に主人公が機械化した体に慣れていくという設定と、プレイヤーがシステムに順応していく感覚がリンクして、スキルツリーで能力解放されていく過程に一体感を覚えましたが、今作もノリの良い作品トーンの器たるシステム自体がまるで編集が抜群の映画か、コンテが優れたアニメ、もしくは漫画のハンター×ハンターの気持ちのいいコマ割りや語り口を味わうかのようなテンポの良さで内容と同期しており心地良いです。このような表現したい内容(物語・舞台・雰囲気)と表現手法(システム)が同期すると、好ましい相乗効果が生まれ、ゲーム体験をより味わい深いものにしてくれます。
 
 自分はオープンワールドやらステルスやらFPSやらというジャンル的な満足度よりも、このようなシステムとゲームのトーンが溶け合っている官能的なゲームデザインを堪能できることが何よりも喜ばしいので、これが味わえただけでも満足です。
 
 
 

不満あれこれ

 
 特に不満らしい不満もありませんが、プレイ中何度も困らされたのは遠くの動物や人にトドメを刺した際、下が背がやや高いような草だと死体が隠れて見失ってしまい、動物の皮を剥いだり、アイテムを回収できなかったことが多々あったこと(倒した敵を見失うということはフォールアウトでも普通に起こることなので、今作というよりもアイテム未回収の敵を目立たせる工夫をしないゲーム全般の問題点かもしれません)。
 
 後、やはりUBIのオープンワールドゲームだけにインセンティブとして機能するシステムが貧弱で、物語を進行させるという動機づけが無くなると、途端にやる気が激減してしまう、システムよりもアクション頼りな作りなのもいつも通り。
 
 
 

まとめ

 
 ゲーム自体は良くも悪くもかなりさっぱりしており、強烈に記憶に刻まれるというタイプの作品ではありませんが、プレイヤーを楽しませることだけに特化して作られているため、アクション要素以外のシステムの貧弱さに目を瞑れば面白さは折り紙付きです。
 
 
 

余談

 
 イーライ・ロス監督の映画からの影響が非常に強く、監督作の“ホステル”や、役者としての出演だけで監督はしていないですが、ほとんどイーライ・ロス作品と同じアプローチの“アフターショック”を見ておくとより今作のコンセプトが明解に理解できるかと思います。
 
 
UBIのオープンワールドゲーム


 

 

 

 
 
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