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エンタメ不感症の患部に巻く包帯

好きなものについて語るブログ

ソードアートオンラインII(アニメ)

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トレーラー

 

点数:75点

 
 
※原作未読
 
 

あらすじ

 
  ゲーム内通貨をリアルマネーに変換できるため、日本で唯一プロのプレーヤーが存在するVR(バーチャルリアリティ)MMOゲームであるGGO(ガン・ゲイル・オンライン)
 GGO内でデスガンを名乗る謎のプレーヤーが銃弾を放ったのとほぼ同時刻、撃たれた側のプレーヤーが現実死亡するという不可解な事件が発生。総務省仮想課の菊岡誠二郎から依頼を受け、キリトはデスガンがゲーム内で人を撃つだけで本当に現実の人間を死に至らしめることが可能なのか調査するため、GGOに潜入することに……。
 
 

ハーレム要素の反省と克服

 
 見る前の一番の懸念材料だった、前シリーズの度を越した不快なハーレム要素は鳴りを潜めており、とりあえずそこは一安心でした。前シリーズのヒロインだったアスナと恋人関係になっているため、二人のいちゃラブが増えてはいるものの、不快さまではいかない程度には抑制されており、作り手の反省が窺えます。
 
 それどころか、今作の前半部のヒロインであるシノンに至っては、最終的に主人公に好感を持つという下手をすれば前シリーズのハーレム展開の二の舞にもなりかねない立ち位置ながら、しっかり主人公のキリトと同じ様な悩みを共有させ、それをお互いが吐露し合い徐々に二人の間の溝が埋まっていくプロセスを描くため、これまでの女性キャラの中でも最も地に足着いた普通のキャラに見えるなど、明らかにアンチハーレムを意識しており、前シリーズとは比べものにならないほど見やすかったです。
 
 二人が共有する悩みがいくら何でも現実離れし過ぎでまったく感情移入できなかったり、相変わらず意味もなくエロいカットを挟む等の手癖の悪さなど問題も多々ありますが、それでもゲーム内設定の映像への置き換えが興味深く見ていてワクワクさせられたり、サスペンス要素やや強めの見やすいストーリー、それらを支える作画のハイクオリティぶりは前作譲り。
 
 

間延びしているのに掘り下げ不足という残念な構成のバランス

 
 設定は惹かれる要素が多数あり、サスペンスも程よく効いているため、TVアニメとしては大変見やすいのですが、いかんせん今作は構成部分に非常に多くの問題を抱えており、本来ならそれほど長く引っ張る様な内容ではないものをひたすら長い会話で引き延ばしているかと思ったら、今度は絶対に掘り下げないといけない説明や描写を省いたりと、ストーリーテリングのちぐはぐさが目立ちます。結果的に、印象としては速く先に進んで欲しいところはひたすら停滞しテンポが悪く、しっかり描写して欲しいところは満足に納得させてくれず説明不足という、痒いところに手が届かない惜しいバランスに。
 
 特に、すでにコチラ側が知っている情報を複数回事情に疎いキャラに説明するという、説明の重複箇所が多く、もっと説明は一箇所にまとめてパパッと済ませて欲しいところ。
 
 さらに、前半と後半でまったく別の話が始まってしまうため、前半積み上げてきたものが途中で一度リセットされるというあまりにもずさんな構成で、いくらなんでも前半と後半が原作では違うエピソードを無理矢理繋げた話だとはいえ、アニメ用に後半部の伏線になるような要素を前半にさり気なく散りばめておく工夫程度は出来たはず(命に関わる問題という点だけ共通していますが)。前半はサスペンス要素が強く、クリフハンガーで引っ張っていくタイプの見やすい作りなのに、中盤以降は軽いミステリー的な作り方で、原作を読んでいないと一体この話がどこに向かうのか進行方向が掴めず、前半に比べると非常に退屈でした。
 オチが分かると遡ってこれまで退屈だった箇所の評価が上がる作りですが、いくらなんでもオチの衝撃的な内容にやや頼り過ぎており、そこまでいくのに何かオチの展開を強化する様な精神的な土台作りをするわけでもなく、ただどこに向かっているのか分からない話に延々付きあわされ我慢を強いられるという作りは苦痛でした。
 
 ただ、前半はサスペンス強めで楽しいのに、後半に行くにつれ失速していくというシナリオ的な曲線は前シリーズと一緒ですが、ラストに待ち受けている重くシリアスな展開は前シリーズに感じた命を扱っているわりに軽かった印象を払拭し、ソードアートオンラインというシリーズの捉え方を良い意味で変化させてくれました。
 
 

見た目は派手だが中身が空回り気味なアクション作画

 
 全体的に作画レベルは安定しており、特に不満はなかったのですが、作画的に力が入る箇所がところどころ物語的な盛り上がりと一致しておらず、メインの話と関係ない戦闘シーンで突然キャラが動きまくったりと、もはや作り手のとりあえず一定間隔で見栄えのいいアクションシーンを挟んでおけばいいという、投げやりなやっつけ感すら漂ってくるような雑さ。
 
 前シリーズと違い、ゲーム内で死ぬと現実でも死んでしまうという緊張感がデスガン関連の戦闘以外では存在しないため、どうしてもただオンラインゲーム上で対人戦やモンスターと戦うシーンを凄い作画で見せられても、作画の力の入り様ほどには前のめりの姿勢で力んでしまうこともありません。
 
 全体的にドラマシーンよりもアクションシーンに作画が偏重しすぎなきらいがあり、そのせいで大して深まらないドラマの中でアクションシーンだけ異常に動きまくるというアンバランスさが生じてしまい、せっかく魅力的なアクションシーンを描いてもそれが効率よく緊張や興奮、楽しさに変換されず、大部分の作画エネルギーがロスしてしまっており、やるせない気持ちになります。
 
 ただ、ユウキ関連のアクション(特にOPアニメーション)は、オチが分かるとあれだけ誰よりも軽やかに動けていたことに違う意味が帯びるため、アクション作画が良くできていればいるほど逆に切なさが増すという、アクション作画レベルの高さを利用した演出にもなっており、ここは感心させられました。
 
 

まとめ

 
 細かい不満が無数にあり、とても手放しでは褒められませんが、やはり前シリーズ同様、自然に飛び交う耳に心地よいゲーム用語や、ゲーム内設定をアニメ(映像)にトレースする際のアプローチの細やかさなど、ゲーム好きには魅力的な要素がふんだんに盛り込まれており、楽しませて貰いました。
 
 そして、なによりも作り手側がきちんと脱ハーレム意識で作っているため、嬉しいというよりも、ようやくまともな作りになってほっとしたというのが素直な感想です。