エンタメ不感症の患部に巻く包帯

機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) (ゲーム) 〈感想・レビュー・評価〉

 

 

トレーラー

 

点数:60点
 

短評

 A.C.E.(アナザー・センチュリーズ・エピソード)系統の操作システムを改良し、アーマードコアのハイスピードバトル及びオートリロード無しの弾薬使い切りシステムを足した、相変わらずフロム的な既存のガンダムゲームとは異なるアプローチの作品。
 原作のエピソードをなぞる本編がボリューム不足な上に、オマケのモードまで単調なため、操作性や原作再現度はそこそこ良いのに、あっさりした印象しか残らない。
 
 

中途半端さという呪いを運命づけられた作品

 
 原作のOVA版が全7話のうち3話までしか出ていない状態での発売のため、話がぶつ切り。かつ原作の1~3話のエピソードを追体験するというコンセプトのため、そもそも原作が序盤で戦闘回数が少ないことの煽りを受け、ボリュームが圧倒的に不足するという当然の結果に終わっています。
 
 少しでもボリューム不足を解消しようと、バナージ視点でのクシャトリヤ戦の後に今度はマリーダ視点でまったく同じ戦いをくり返すなど、同一の戦いを双方の視点から描くという苦肉の水増し策まで行う始末。
 
 今作はサイレン的に1~3話のエピソードがそれぞれ時間ごとに区切られており、この戦いの時脇役のこのキャラは何を考えていたのかという心情吐露をするモノローグチャプターが存在し、これが意外に本編の雰囲気をアシストする働きをしており好印象。このモノローグチャプター自体は特にどうということもない要素ですが、キャラの心情の掘り下げ方が丁寧で、このモノローグを聞いた後にアニメを見直すと同じシーンの印象が変わるほどです。
 
 ボリューム不足をカバーするために本編の原作追体験モードであるユニコーンモード以外にカスタムキャストモードというパイロットやモビルスーツ、僚機、武装、戦艦やクルーなどを自由に設定して挑めるミッションモードが搭載されています。
 最初にユニコーンモードをプレイし終えた時は正直この作品への印象は散々なものでしたが、このカスタムキャストモードをしばらくプレイすると、自然と評価が向上しました。
 本編では強力なモビルスーツとばかり戦わされストレスが多く溜まりますが、このカスタムキャストモードはわりとザコ敵や戦艦をサクサク沈めていけるため、本編で溜まっていたフラストレーションがうまい具合に解消されます。自機以外に僚機を自由に設定できる点もプラスで、小隊行動をしているため、仲間からの救援要請が発生し、助けに行かなければならなかったりと、ミッション中にこなさなければならない雑事が本編より多く、むしろこちらのほうが操作性の良さやシステムの面白さをストレートに体感できてしまう始末。
 
 ただ、それでもカスタムキャストモード単独で満足できるほどの作り込みではなく、ただ制限時間内に敵を倒し続けるだけの単調なモードなため、飽きが早いです。
 
 メインのユニコーンモードとオマケのカスタムキャストモード双方とも不満が多く残る内容。
 
 

ハイスピードバトル&原作再現度の高さ

 
 今作は同社のA.C.E.システムベースで、アーマードコア4やフォーアンサー系の加速感表現を取り込み、同じくアーマードコア(もしくはガンダムゲームではターゲットインサイト的)の弾丸のオートリロード無しというシビアさをプラスした、かなりガンダムゲームとしては硬派なアプローチです。
 
 急接近という敵に向かって急加速するシステムはアーマードコアのオーバードブーストを連想させたりと、全体的にハイスピードバトル系のアプローチが目立ちますが、それを支えるのが他のガンダムゲームでは見たことがない燃料の使い切りシステム。
 普通のロボットゲームでは大体ブースターでジャンプしたり加速したりする際は少量の決まったエネルギーゲージ(容量)分だけしか使用できず、使用後は自動的にゆっくりゲージが回復していくという手法が一般的です。しかし、今作ではある程度の大容量の使い切りの燃料が一度に与えられ、それを思う存分使って加速をくり返すことができます。その代わり、燃料を使い切ると救済として一定の量は自動回復しますが、かなり苦しいやりくりを求められるという具合。
 この大容量の燃料を使い切るというシステムのおかげで、短時間ではありますが他のガンダムゲームでは味わうことのできない加速し放題のプレイが可能で、ハイスピードバトルに磨きをかけています。
 
 ただ、この燃料のシステムだったり、弾を撃ちきってもオートでリロードされず、フィールド内にある補給ポイントに接触しないと弾が補充できないというシステムはどうしてもシューティングゲームとしての快適性を著しく削ぐ要素でもあり、とてもではないですがボス戦(クシャトリヤなど)中においそれと補給も出来ないため、常に弾切れ状態で戦っている様な状況にも陥りやすく、手放しで評価できません。
 
 原作再現度は中々で、ユニコーン独特の粘っこい様なビームライフルの光が長時間消えずに残り続けビームサーベルのように敵を斬りつけられもする仕様の再現、スタークジェガンがミサイルポッドや手持ち武器をパージしサーベルへ持ち替えるクシャトリヤへの特攻再現など、遊び心満載です。
 
 ターゲットインサイトグフ・カスタムのガトリングシールドをパージして三連装ガトリングに切り替えるという原作と同じ動作が可能なことで、ゲームでガンダムごっこをして遊びたい自分としては大喜びしたのを思い出しました。
 
 ただ、やはりA.C.E.のシステムという正直アーマードコアに比べあまり完成度が高いとは言えないシステムベースのためか、アーマードコア級に操作の快楽性があるのかといえばそれはなく、プレイが全体的に味気ないのはA.C.E. 譲り。
 
 原作の1~3話を再現するため常に空間的な処理が困難であろう宇宙が舞台ということも祟っていると思われます。地上戦など重力圏内でのミッションもあれば、もしかしたら印象ももう少し上向いたかもしれません。
 
 

フロムという病(やまい

 
 さすがにフロムというだけあって、今作は難易度ノーマルでも普通にゲームオーバーしまくる高難易度設定で、自分もユニコーンモードを普通に全ミッション(DLC以外)クリアするまでに20回近くは死にました。
 
 もはや誰もガンダムゲームには求めていないであろう高難易度に調節するフロムは、何かゲームの難易度を一定水準以上に保ち続けないと死んでしまう呪いにでもかかっているのか疑ってしまいます。
 
 

まとめ

 
 宇宙戦をメインとするガンダムファン用のファンアイテムアクションゲームとして見るならかなりの完成度。フロムのロボットゲームとして見るならアーマードコアには遠く及ばない凡作。
 
 過剰な期待さえしなければハイスピードバトルや原作再現度の高さで中々侮れないパフォーマンスを発揮してくれます。
 
 
フロムソフトウェアのロボットゲーム


 

 

機動戦士ガンダムUC (特装版)

機動戦士ガンダムUC (特装版)