エンタメ不感症の患部に巻く包帯

アーマード・コアV(Xbox360版) 〈感想・レビュー・評価〉

 

トレーラー

 

点数:50点
 

短評

 ナンバリングという重い看板を背負うには無理がある完成度。
 TPS化しようとして失敗し、中途半端などうでもいいアクションゲームに成り下がった駄作。
 
 

ラノベのようなトーンな上、演出周りがあっさりしすぎで退屈この上なし

 
 キャラクターのセリフ回しがやたら軽く、最近のラノベ原作のアニメを見ているような痛々しさしかありません。フロム的な少し厨二病の入った硬質で諦念感のあるハードボイルドなやり取りの妙が失われ、ただの安っぽい掛け合いを聞かされるだけで苦痛でした。
 
 シナリオ面は過去最悪で、世界観の掘り下げはほぼなく、これまでのシリーズにはあった特殊な環境下などでの刺激的なミッションも皆無で、ただ都市部を移動しながら敵と交戦するだけの単調なものが大半で、終始変化に乏しく非常に不満。
 
 マップが広すぎるためか、ナビゲーションばかり見て周囲の風景がまったく目に入らないという非常に薄いプレイ感は、巧みなレベルデザインや、想像力豊かで奇抜な演出力に秀でるフロムらしさを微塵も感じさせてはくれません。
 ただ機械的にナビゲーションに沿って移動し、出てくる敵と交戦するだけのやらされてる感が強い退屈な作業ミッションは苦痛そのもの。
 変化に乏しくつまらないのに一つ一つのストーリーミッションが異様に長いため、途中で飽きてしまいます。
 
 

TPS化に失敗

 
 これまでの複雑化したシステムを一新し、分かりやすいTPSにしようとしたものの、これが誤算。これまでのアーマードコア的なハイスピードバトルの快楽性が影を潜め、ただのレスポンスが悪い(操作が重い)、操作していて爽快感の欠片もない凡庸なアクションゲームに退化してしまっています。ではシューター系のゲームの気持ちよさが新たに生まれたかといえばそれもなく、ただ全体的に動きがもっさりしただけで、4やフォーアンサーで稼いだ貯金が根こそぎ失われただけという残念すぎる出来映え。
 
 特に自由に飛び跳ねられないジャンプ周りの劣化が操作の気持ちよさを目減りさせる大きな要因に。
 逆説的に縛りもなく自由自在に飛び回れたこれまでの操作性がいかにプレイの快感の源泉だったのかがよく分かりました。
 
 

UIの挑戦

 
 TPS的なリング状のロックオンサイト内にそのままフレームHPやEN残量、武器の弾数をオールインワンで表示させてしまうというアイデアは面白いです。体感的とは到底言えず、チュートリアルもなく、説明書を読まないと表示されているものが何を示しているのか理解もできないのは大きなマイナスですが、意味が分かると確かに合理的な表示方法に思えなくもありません。ですが、どうしてもフレームHPなどの重要な情報の表示が極端に小さいためか、マイナス面の印象ばかりが目立ちます。
 
 ダメージを喰らうと画面にノイズが走るという画面効果は嫌いではないですが、正直見辛いためほどほどにして欲しいところ。
 
 

武装周りのストレス

 
 これまで当たり前にできていたことができなくなるということの不便さがいかに堪えるのかの確認作業をさせられているようなダメさ加減。
 
 まず、これまでの手持ち武器と肩武器との関係性が変わり、ミサイルやら特殊兵装など一部の武器だけが肩武器扱いに変更され、これまで肩武器だった強力なキャノンなどは手持ち武器扱いに。
 
 さらに、なぜこのような仕様にしたのか理解に苦しむのは一部の手持ち武器とハンガー武器(替えの武器)の交換が自由に行えない点。強力な武器はハンガーに搭載できないため、手に持って出撃するのですが、自分の意志でパージするか、全弾撃ち終わって自動的にパージされるかしないとハンガー武器に持ち替えることすらできないというストレスの溜まる仕様に。
 
 これまでは当たり前に出来た手持ち武器と肩武器の変更に制限が設けられたようなもので、これは改悪にしか感じられませんでした。
 
 

まとめ

 
 コンセプトが成功しているとは到底言えないしょうもないナンバリングタイトル。
 これまで積み上げてきたシステムを一新しようとしたら、あらゆる要素がガタガタになり、元より劣化しただけの駄作。
 
 オフラインモードだけなら1%もプレイする価値はありません(もうオンラインサービスも終了しているため、オフライン意外はやりようがないですが)。
 
 フロムのゲームは軸がオフラインからオンラインに移行したせいでオフ専的には不満が漏れる量が増えても、それでも薄味ながらオフラインモードにも評価できる点は毎回ちらほら存在していました。ですが、今作に至っては遂に一つたりとも褒める要素が見あたりません。正真正銘の駄作そのもの。
 
 強いて褒めるなら白組の制作したプリレンダムービーが圧巻の完成度な点と、オーバードウェポンというネタ的な武装の演出が過剰なほど大仰で馬鹿馬鹿しくて楽しいくらいです。
 
 
フロムソフトウェアのロボットゲーム