エンタメ不感症の患部に巻く包帯

パージ 〈感想・レビュー・評価〉

 

トレーラー

 

点数:50点
 

あらすじ

 暴力事件の多発に頭を抱えていたアメリカは新しいルールにより再生を果たし、治安が劇的に回復した。それは一年に一度だけ、午後七時から明朝七時までの十二時間、どのような犯罪だろうと合法化されるパージというルールだった。主人公のジェームズ・サンディンはパージの日に自宅を防衛するためのセキュリティを近所に売りまくり、大儲け。自宅にもセキュリティを施し万全の態勢で備えていたが、パージ当日、助けを求める男を家に入れてしまう。すると、その男を追う集団に男を引き渡さないと家族を皆殺しにすると脅され……。
 
 

これぞマッチポンプの極み

 
 リブート版のロボコップを見た際にも感じましたが、典型的な世界観設定の描き込み不足とそれを映像的に見せる工夫の足りなさゆえの話にまったく入れない、合点のいかなさだけが際立つどうしようもない脚本。
 
 リブート版のロボコップではアメリカにロボット警官が導入されることでなぜ治安がよくなるのかという具体的な説明に乏しく、かつロボット警官が導入されたことでどれだけ治安がよくなったのかという絵的にビフォーアフターを見せることもされないため、いまいちピンとこない程度の不満でしたが、今作はそれどころではなく、パージというルールでアメリカの治安が回復するという根拠自体が意味不明過ぎます。ルールそのものがぶっ壊れているため、壊れたルールでゲームをプレイしたって面白くなるはずもなく、終始どうでも良さだけが漂うとんでもサスペンス・ホラー映画にしかなりようがありません。
 
 今作が序盤でなにがなんでも成立しておかなければならなかったことは、リアリティは必要ないので劇中においてのみパージ以前よりも以後のほうが劇的にアメリカの治安が回復したという説得力のある、くどいくらいの描写と、パージというルールに対し、見ている側が肯定的でも否定的でもいいのでとりあえず自分なりの捉え方を確立させてあげること。それをやらないままパージが始まり出してしまうため、もう途中で挽回することも叶わず終始しょうもないルールの遊戯に興じるバカな連中を冷めた目で見守るだけです。パージというルールに対しての懐疑が晴れないのに、そのルールを遵守する人間達を見せられても何ら訴えてくるものがありません。
 
 パージは素晴らしい→だがやはり間違っている、パージは間違っている→だが一理あることも確か、というような本来背徳的なルール設定の面白さで引っ張るようなサスペンスには必要な価値観の逆転を体験させられる面白味は、あまりにもバカバカし過ぎる内容ゆえ皆無。
 
 冒頭の過去の暴力映像が映された監視カメラの連なりからどのように現代に時間が飛ぶのかとワクワクしていたら、特に何の工夫もない繋がり方しかせずガッカリでした。
 今作はすでに冒頭の十数分で失敗しており、本編はこの冒頭部分の失敗のツケでしかありません。
 無理にシリアスさなど追求せずに初めからコメディタッチにしていればこのような問題も多少は緩和されたでしょうが、後の祭りです。
 
 映像的にも特に見映えもせず、凡庸。映像のうまさで引っ張れるほどでもない上に、自宅が停電しているため終始画面が真っ暗で何が起こっているのかよく分からないというクソっぷりで、イライラしかしません。
 
 

まとめ

 
 こんな“わらの犬”ごっこのしょうもない映画を見た記憶をパージしたくなること請け合いの駄作。