エンタメ不感症の患部に巻く包帯

ダーククロニクル 〈感想・レビュー・評価〉

 

トレーラー

 

点数:75点

 

短評

 
 前作と同じでダンジョンアクションRPGパートとSLGパートのハイブリッド型ジャンル。目が回るほどのやり込み要素の物量でとてもではないが多忙な時期においそれとはプレイできない難物。武器カスタマイズの楽しさが尋常ではなく、ジオラマRPGの皮を被った武器カスタマイズRPGと言っても過言ではないほど。
 
 

あらすじ

 
 グリフォン大帝と呼ばれる謎の存在により物事の起源を消失させられ、本来なら存在するはずのものが消されてしまった世界。アトラミリアという特別な力を持った石に選ばれた少年ユリスと、同じく石に選ばれ未来からやってきた少女モニカは、グリフォン大帝によってねじ曲げられた歴史を修正するため、世界と歴史の再生の旅に出る……。
 
 

押し潰されそうなほどのやり込み要素

 
 最近のオープンワールド型のゲームか、それ以上のボリュームのやり込み要素が存在し、一時たりともプレイヤーにブラブラと惰性でプレイをさせまいとびっちりとやり込み要素で隙間を埋め尽くしたような密度を持ちます。
 
 やり込み要素が相互作用するようにデザインされており、武器カスタマイズ・ライドポッド強化・スクープ写真撮影・発明・ジオラマ作り・パームブリンクスの住人の勧誘など、時には本編に関係し、時には独立しているため、ダーククラウドのようなイベントを先に進めるためにジオラマパートを無理矢理やらされている、といった強制感はかなり薄れました。
 
 もはや本編よりもやり込み要素のほうがメインなのではないかと見紛うほどで、これほどまでに隙間をやり込みで埋め尽くすとそれはそれであっぱれと言いたくなる感慨を覚えます。その結果プレイ時間は膨大な量に上り、クリアまで最短でも30時間オーバーほどで、やり込もうと思えば楽勝で100時間オーバーはいけます。
 
 

前作と同じでメインのシステムは武器カスタマイズ

 
 前作と同じでキャラにレベルという概念はなく、武器カスタマイズがメインの成長システム。
 

 
 前作では武器レベルが上昇する際にスロットに装備していたアタッチメントを吸収しパラメータが上昇するというシステムでしたが、今作は手持ちの武器やアイテムをスペクトルという物質?に変換し、それを武器に直接合成するという仕組みに変化しました。
 これは前作ではレベルアップ時だけだったアタッチメント吸収の楽しさをより何回も味わえるように改良したもので、その中毒性は半端ではありません。
 
 武器はレベルが上がると合成ポイントが加算され、その合成ポイントを消費しスペクトルを武器に合成し、武器を強化していきます。武器もレベル5まで強化するとスペクトル化できるようになり、前作のステータスブレイク同様に強化した古い武器の強化分を新しい武器に持ち越すことが可能です。
 
 前作では武器は次から次に交換していくタイプでしたが、今作はビルドアップといって武器のパラメータを一定まで上げると次の武器に進化させられるシステムに。ビルドアップするのに不足しているパラメータが赤く点滅表示されるため、足りない能力が一目で分かり、よりどこを強化していけばいいか武器強化プランが可視化されるようになりました。
 
 前作のアタッチメント吸収だけでも楽しかったのに、今作は度を越したほどの中毒性で、もはやこれだけ弄っていればジオラマはどうでもいいような気分になるほどの面白さに進化しています。この武器カスタマイズの楽しさが味わえるだけでもこの作品に価値があると思えるほど。
 
 惜しいのはこの武器カスタマイズの圧倒的な楽しさを生かせるゲームデザインになっていればなお評価が上がっていた点。
 
 

ダンジョンアクションRPGパート

 
 このゲームは街・ダンジョン・ムービー部分問わず、あらゆる場面でテンポの悪さを感じさせます。
 特にダンジョン部のテンポ感の悪さが深刻で、前作ではドランの羽根というダンジョンを高速移動できるアイテムがあり、そのおかげである程度スイスイとダンジョン内を移動できましたが、今作はそれにあたるアイテムがありません(後半ライドポッドの移動がやや高速になる程度)。そのため、だだっ広いダンジョンを延々歩かされる羽目に。
 
 苦痛の原因はキャラクターの移動速度が遅いことと、それに対してダンジョンや街がかなり広めな点。キャラクターにダッシュ機能のようなものを持たせるか、もしくはダンジョンをもっと狭く作るかしないと、何もしない直線の移動時間が長すぎて、苦痛だけが蓄積されます。
 
 自分もプレイ中移動時間が長すぎてダンジョン内で眠気に襲われることがしばしばありました。ダーククラウドの感想でも書きましたが、やはり緊張感を伴うようなレベルデザインでもないため、この移動時間が苦痛として蓄積され、ゲーム体験が薄くなったような気すらします。
 
 アクションゲームとしてはカメラ移動が酷かったり、遠距離武器が強すぎたダーククラウドよりは幾分マシになりましたが、バトル部分だけを取って楽しいかと言われれば微妙で、武器カスタマイズなどとセットになって初めて遊べるものとなる感じです。
 
 ライドポッドというユリスが乗り込むロボットが序盤から終盤までやたら強力なため、ライドポッドだけ使っていればダンジョンをクリアできてしまうのも問題。これのせいで、プレイとして楽なのが、
 
ライドポッドで戦う > カスタマイズした武器で戦う
 
となってしまい、せっかくの面白い武器カスタマイズ要素が陰り勿体ないです。ライドポッドが悪いというワケではありませんが、もう少し弱体化させてカスタマイズした武器に華を持たせるようなバランスのほうが、この良くできた武器カスタマイズシステムを生かせたはず。
 武器のカスタムの仕方が分からないプレイヤーに対する救済措置的な意味合いもあるのでしょうが、それがバランスが崩れる要因になったのでは元も子もありません。
 
 

ジオラマパート

 
 前作にあった、街の人のリクエストを聞き、パズル的にジオラマを設置していくという部分を拡張したようなシステムとなり、確かに前作に比べると自由度、達成感は高くなっています。しかし、どうしてもダンジョンRPGパートと比べるとオマケ的な領域を出ず、ジオラマパートだけで一本のゲームとして成立するほどの作り込みをしていないのは相変わらず。
 
 未来で消えてしまった建物を復活させるという目的のため、やはり指示されたような物を設置していくだけのイベント的な要素が濃く、前作よりはマシになりましたが、それでもやらされている感は根強いです。イベント的なシステムだとしたら今度はもっと推理要素を入れ、何が必要なのかプレイヤーに考えさせたほうがより達成感があったと思います。
 
 前作同様、またしても強制イベント的な部分と、自由にジオラマを作れるという基本コンセプト部分が噛み合っておらず、ただのオマケの領域を出ない中途半端なシステムに終わってしまっています。
 
 せっかく現在と未来が繋がっているという設定なのだから、ちょっとした小物を置いても未来で違ったデザインになってその場所に置かれているというような連続性があったほうがより楽しめたはずです。マニュアル通りに正解を再現しているだけで、プレイヤーの想像や工夫が入り込む余地があまりないのが残念。
 
 

相変わらずシナリオがお粗末

 
 現在と未来で歴史が断裂するとどうなるかという興味的なアプローチをしているストーリー部分ですが、いかんせんタイムスリップものとしての最低限のルールを守っておらず、非常に不満が残る出来。
 
 例えば未来で消滅したはずの建物や人物の記憶が平気で未来の人間に残っていたりするため、過去を改変されることの恐怖感がまったく出ていません。歴史を修正され、未来を変えられたのだとしたら、その未来が改変されたものであるという記憶すらも抹消されないと無意味です。アトラミリアを持つ者だけが時間の流れから外され、歴史改変に対して影響を受けない観測者となる、などの設定にすれば良かったはず。
 
 ずっと主人公が書いている手紙の回想という形で物語が語られますが、これがいまいちしっくりこない。ラストで世界を救った後、正常な時間の流れに戻ったら、モニカや母のこと、冒険のことも全て忘れてしまうため、冒険の記録を手紙に書き残し、それがこのゲームそのものだったという体にしたほうが個人的に好みでした。
 
 そもそも、過去の回想という形なのに、それがまったくクリフハンガーとして機能もしていないため、ただ単に回想しているだけに過ぎず、回想という手法そのものが目的化しただけの無意味な語り口となっています。
 これならプレイヤーがそのエピソードで受ける印象と、真相をすでに知っているユリスの視点から語られる感想が微妙に食い違っていたりなどの工夫が欲しいところ。
 
 例えばグリフォン大帝がプレイヤーから見たら極悪な存在に見えているのに、回想でユリスが語るグリフォン大帝像がプレイヤーの印象と異なる、など。
 
 

まとめ

 
 ダンジョンパートがあまりにも単調すぎてやや薄味の印象ですが、武器カスタマイズ要素やジオラマ作成など、前作の持ち味をさらに改良した作りで、前作よりは確実に楽しめるボリューミーな作品。
 
 ただ、ダンジョンを高速移動できるドランの羽根や、アイテム預かり所など、前作には普通にあったシステムが消えたことは地味にキツイ。
 
 
前編


 

 街を再建するゲーム