エンタメ不感症の患部に巻く包帯

ROBOTICS;NOTES(ロボティクスノーツ) (Xbox360版) 〈感想・レビュー・評価〉

 

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点数:65点

 

短評

 
 方向性を間違えたため、全体的にどこをどう弄っても向上の余地の見あたらない作品になってしまい残念。部分部分の設定やアイデアに秀逸な部分は多々見受けられるが、全体としては今一つ煮え切らない微妙な作品に落ち着いている。
 
 

あらすじ

 
 格ゲーマニアの八汐海翔(やしおかいと)は、中央種子島高校ロボ部の部員にも関わらず、部活に興味を持たず、幼馴染のあき穂が巨大ロボがんつく1号の制作に勤しむのを横目に格ゲー三昧の高校生活を謳歌していた。刺激はないが穏やかな種子島の生活に満足していた海翔だったが、ポケコンという携帯端末のアプリを通してでないと見ることのできない愛理(あいり)という謎の少女に出会ったことで、世界を揺るがしかねない恐るべき計画が記された君島レポートと呼ばれるデータが種子島にあることを知る。なんとなしに君島レポートを集めだす海翔。だがその行為が後にロボ部をも巻き込み、世界を巨大な大混乱に誘うことになろうことを海翔自信は知る由もなく……。
 
 

オタクカルチャー+陰謀論パラノイア

 
 5pbの科学アドベンチャーシリーズ全般に言えることですが、非常にオタクカルチャーと陰謀論のミックスの仕方がうまい。オカルトや都市伝説に科学的なスパイスを混ぜる(もしくはその逆の)Xファイル的な手法をうまくオタクカルチャーのそれにまぶすことで、他の作品ではあまり見たことがない化学反応を味わえます。
 ここは今作でも数少ない素直に楽しいと思える点。
 
 ただ、それら一つ一つの掘り下げが足りないため、結局はスケール感が希薄なままになってしまっており「こういうアイデアを考えてみました」というところから先に進んでいません。
 
 

ツイポという語り口

 
 ツイッター風のSNSアプリをゲーム内で再現し、それによって主人公たちにとって死角となるような遠い場所で起こっている出来事と、それに対しての人々の生の反応が書き込まれていくという多角的な語り口は5pb的で非常にうまいです。
 
 毎度物語に新しい情報の提示の仕方を盛り込んでくる5pbには頭が下がります。ここら辺のセンスの良さは驚かされるばかり。
 
 ただ、今回はこのツイポのツイートに対してのリプライが選択肢代わりになっていますが、シュタインズゲートの感想でも述べた通り、やはり物語を停滞させてまで正しい選択肢選びをさせる作業が鬱陶しいだけに感じます。プレイヤーの要望は早く先の展開が読みたいであり、選択肢潰しは余計。
 
 科学アドベンチャーシリーズはサスペンス的なクリフハンガーをメインに据えて作られているため、このような物語が停滞するという状態は本来なら絶対避けるべきことであるはず。
 
 しかも、中盤でルート分岐するヒロイン別個別ルートの時系列がなぜかそれぞれ異なっており、自分の場合も前後ひっくり返った状態になってしまいました(特に意味もないのにドラマの5話と6話で、6話を先に見させられる状態)。
 まだシュタインズゲートのように本編ルートに個別ルートをサブ的に融合させた状態のほうが先に進めなくなる苦痛が軽減されていたと思います。
 
 

引き続きトライ&エラー

 
 前作のシュタインズゲートでもタイムマシンの原理がよく分からずにとりあえず仮説を出し合うというくだりを丁寧に描いていましたが、今作でも巨大ロボットを制作する過程でああでもないこうでもないとキャラ達に議論させている点は喜ばしいです。
 ですが、いかんせん前作はこの世に存在しないタイムマシンで、今作がありえるかもしれない巨大ロボットという設定のため、結局議論していることと出来上がる現物が乖離し、ちぐはぐな印象を受けます。
 
 ロボットのパーツとしてとんでもない未知の物質を用いているのに、出来上がるのがそこらの巨大ロボットと比べてもショボイ物なため「じゃあ、あれは何なの?」と疑問だけが募ることに。
 
 結局未知の物質を桁違いの性能のロボットができるという点ではなく、アマチュア高校生達が作るまだまだ技術的には劣る巨大ロボットをとりあえずそれっぽく動かす言い訳に使っているため、カタルシスに繋がりません。
 
 例えるなら、魔法の調味料を失敗して焦がした激マズ料理に振りかけたら何とか普通に食べられるようにはなった、というレベルの話。
 
 悪い意味で科学的に地に足を着けようとしたためにフィクション的なカタルシスを削いでしまう残念な結果になってしまっています。
 
 これなら未知の物質は最後の最後まで取っておき、まともに歩行すらできないがんつく1号ではどうやっても太刀打ち出来ない相手に途方に暮れていると、最後の希望として提示され、それによってまだまだスペック的には桁違いに向こうが上だが、それでも何とかギリ戦いを挑むレベルにはチューンできる、というシナリオ構成のほうがまだマシでした。
 
 

拡張現実を使ったADV的なアプローチとそれに付随する立ち絵CG

 
 いつでもメニュー画面にあたるポケコン(劇中に登場するタブレットPCスマホの中間のような端末)の画面で背景やCGの立ち絵に貼り付けられたジオタグ(対象の説明文)が見られる居る夫(いるお)アプリというシステムは面白いのですが、これも結局作り込み不足で、本編中のあるイベントで用いるくらいでその他には大した存在理由も見あたりません。
 プレイヤーがジオタグを貼り付けると、デモンズソウルやダークソウルのメッセージのようにオンラインに繋いでいれば他の人が貼り付けたメッセージが見られるとか、悪戯ジオタグが山のように貼り付けられており、その中からプレイヤーが嘘と真実を見分けなければならなかったり(それはツイポでもやっているので被ってしまいますが)と、いくらでもこのシステムを用いて演出ができたはず。
 
 この居る夫アプリで立ち絵キャラを認識させるための影響か、今回は立ち絵がCGで表情の変化や動作が加わっています。CG立ち絵を用いるという手法自体は個人的には好印象ですが、現状ではキャラとして頑張って認識してあげている状態で、プレイヤー側に多少の負担を強いてきます。贅沢を言えばもう少し生命感が欲しいところ。
 
 しかし、立ち絵をCGにすると当たり前ですがスチール(手描き一枚絵)のキャラの絵とギャップが生じてしまい、気持ち悪くもあるので、これはCGに統一するか、混合するのかバランスが難しいところ。
 
 

ガッカリスケール感

 
 個人的に一番不満に感じたのが物語のスケールの無さ。パワードスーツが当たり前に存在する世界なのにパワードスーツがある日常が近所のコンビニ一軒だけで、それ以外にまったく視覚的に描かれない。
 ロボットが当たり前にあるはずの世界なのにロボットの気配がない(田舎だから近くになくともネットなどでは当たり前にロボット関連のニュースに触れているはず)。
 
 科学アドベンチャーシリーズお得意の複数メディア視点などを用いてパワードスーツやロボットがいかに日常に溶け込んでいる世界なのかもっと表現しなければ中盤以降の展開になんら説得力を生まない。
 
 ポール・バーホーベン監督の映画(ロボコップスターシップトゥルーパーズ)のように劇中CMを大量に挟んだり、メタルギアソリッド4のOPの、世界中で戦争が常態化しているのをテレビ番組の内容(クイズ番組で戦争経済関連のクイズが出たり、民間軍事会社のCMが流れたり)で表現したりする演出がもっともっと欲しかった(序盤に劇中企業であるエグゾスケルトン社のCMが一回流れる程度)。
 
 「こんな世界なんです」と文章で設定を説明しているだけで、プレイヤーに肌感覚でそういう世界に感じさせないため、陰謀がどうたらこうたら言われても実感が持てないし興味が湧きません。
 
 これは多分種子島を舞台にしたことで起こってしまった状態だと思われます。
 カオスヘッドの渋谷や、シュタインズゲート秋葉原という場所は、ただ、その場所を描写するだけで事件の舞台の中心を描くこととイコールでした。
 しかし、ロボティクスノーツは微妙に事件の進行場所と主人公達が日常を営む場所が乖離しており、結局それほど濃密に二箇所が交わらないまま中途半端に流れていきます。
 もっと種子島だけの描写に絞り、自分たちには関係ないと思っていた都会で起こっている深刻な事態がじわじわと日常を浸食してくる怖さを描くなり、やりようはあったはず。
 
 この作品はラストに大カタルシス展開を置こうとしていますが、下準備がまったく足りていない状態のまま突入してしまうので「勿体ない、もっと盛り上げられたのに!」と歯痒い思いでした。
 キャラクターのエモーションの持っていき方、地に足着いた説得力のあるスケール感、伏線が集約していく気持ちよさとカタルシスに必要な要素がことごとく基準を下回っており、確かに起こっていることそのものは非常に燃える展開なのに、それを裏で支える説得力がスカスカなため結局その場のバトル単体の熱さだけが上滑っているだけ。
 
 

まとめ

 
 サスペンスが売りの科学アドベンチャーシリーズで変に畑違いの部活青春感動ものに突っ走ってしまったせいでぶっ壊れた感がある今作。
 カオスヘッドよりは楽しめましたが、カオスヘッドにはあった、万人向けではないし、拙い部分はあるがそれでもやっていることは凄いし伸びしろがあるという未来への可能性が消え、万人向けを狙い得意でない分野に手を出し、結果滑ったとほほな痛々しさだけが残ります。
 
 設定やアイデアに非常に秀逸な部分もあるため完全には嫌いになれないですが、かといって伸びしろはない、ここで行き止まりな作品。
 
 もし、ラストが暖かい声援を受けて皆に送り出される戦いでなく、主人公達だけが唯一世界の危機を認識し、周囲の理解をまったく得られないどころか逆に非難までされ、それでも信念に従い、勝ち目の薄い孤独で絶望的な戦いに挑む、という展開だったら個人的に評価が大幅に上がっていました。
 
 

余談(※ややネタバレあり

 
 多少ネタバレになりますが、陰謀論を世間に公表し、その陰謀論を世間に信じさせることこそが陰謀発動の鍵になるという設定に非常に興奮しました。ただ、陰謀論の中に記されたたった一行ほどの嘘が世界的な大混乱を巻き起こすという大カタルシスはもっと丁寧なプロットと演出で味わいたかったというのが本音。
 
 
5pbの科学アドベンチャーシリーズ

 

 

ROBOTICS;NOTES (通常版)

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ROBOTICS;NOTES ELITE (通常版)

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ROBOTICS;NOTES (通常版)

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