エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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アサシンクリード3(Xbox360版)

 

トレーラー


点数:75点

 

短評

 シリーズとしてマンネリ感が厳しくなってきたが、それでも一定水準の満足度は確実に叩きだせるのはあっぱれ。2に比べると単純な楽しさは後退したものの、ネイティブアメリカンのアサシンや森の中でのパルクール、艦の操舵など、挑戦している点も多々あり、相変わらず好印象な作品に仕上がっている。
 
 

パルクールの快感が後退

 
 オープンワールド型の、マップが広大なゲームに付き物の目的地までの長距離移動の煩わしさに一つの正解(ブレイクスルー)をもたらしたのがアサシンクリードパルクールであったと思います。本来なら迂回したほうが早く目的地に辿り着けるようなケースですら、すいすいと建物をよじ登る操作が気持ちよく、つい遠回りになり兼ねない障害物(建造物)を乗り越えるルートを選んでしまうほど、アサシンクリードパルクール移動の快楽性は優秀です。
 移動を快楽化させるということは、オープンワールドの弱点である移動時間の長さをカバーするアプローチとしては非常に理に適っています。ファストトラベルなど、移動をショートカットするのも一つの手ですが、移動そのものを楽しませてしまうという発想のほうが個人的には好き。
 
 しかし、3ではこのパルクール移動を前提としたマップ構築(レベルデザイン)が不十分で、移動がただ長距離を馬やダッシュで走らされるだけの作業と化してしまっています。自然豊かな北米を舞台にしているがゆえに建造物が乏しく、かつマップがより広くなったことが災いしてこの問題はより深刻となりました。
 
 乗り物移動を前提としたグランドセフトオート5などと比べると一目瞭然で、あちらの乗り物移動は苦痛を感じることがありません。移動そのものが一種のレーシングゲームの様な操作の快楽を伴うことで、移動それ自体がゲームの一部としてしっかり機能しています。
 
 この、3における移動の快楽性の後退はそのままゲームとしての面白さの後退の大きな要因に。
 
 

いつも通り、歴史ものとしての硬派さを仮想現実感が破壊している

 
 歴史ものとして当時の街並みの再現や、史実に沿った展開など、硬派な姿勢で取り組んでいることは非常に好感が持てますが、いかんせんアニムス(仮想現実)という設定が全てを台無しにするのは毎度のこと。
 ロードのためにちかちかする画面や、プログラムであることを隠そうともしないマップがデジタル的に再現される演出など、あらゆる演出が歴史ものとしての堅めな作品性を相殺する働きをしてしまっているのが残念。
 
 ドラマにも溜めがなく、よく言えばクール、悪く言えば淡々としただけとも取れる、摩擦が少ないスタンスなのも相変わらず。起こった出来事をそのまま提示するだけで、プレイヤーに出来事そのものへ前のめりの興味を持たせるという作業を一切行わないため、当事者意識など生まれるワケもなく、歴史を垣間見ることは出来てもそこに加わっているという実感と、それに付随するダイナミズムを味わうには至っていません。脚本的な部分で歴史を咀嚼していても、それをゲームの面白さとして出力できているかと言えば微妙で、史実をなぞる様なイベント部分はやや退屈でした。
 
 

ゾクゾクする操舵演出

 
 船を操舵する際に、舵を持つ人物の背後にTPS的な視点の置き方をするという発想が発明的。コナーの視点に合わせた高さにカメラを位置させるため、巨大な船を操舵するというダイナミズムをコナー視点で体感できます。この船を操舵する際の重量感を伴う操作性と、ダイナミックなカメラワークが相まって今まで味わったことのないゾクゾクする感覚を覚えました。
 
 これは初めてアサシンクリードシリーズをやった際のすいすいと壁をよじ昇り、ぴょんぴょん建物と建物の間を飛び越えていくパルクールの快感を知った時の感覚を想起させます。手軽にパルクールを味わえるという発明をしたアサシンクリードが今度は船の操作で同じように船を操るだけでゾクゾクとする快感を与える発明をしてくれたのが非常に喜ばしい。操作によってもたらされる快楽性のアップデートはお手の物ということでしょうか。
 
 ただ、敵の艦船との砲撃戦はミニゲーム的でやや退屈。この船の操作の楽しさをもっと生かした別のシステムを作って欲しかったです。
 
 

まとめ

 
 シナリオ的にもシステム的にも良くも悪くも地味で、船の操舵意外にはマンネリもたたって突き抜けるようなゲーム体験に欠けます。
 2のほうがゲームとしては面白かったですが、個人的に雰囲気として好きなのはコナーという大自然を庭として育ち、森を味方にして戦うネイティブアメリカンのアサシンという魅力的な主人公を据えている3のほう。
 

余談

 
 コナーの声をあてている声優の浪川大輔さんはFate/Zeroのウェイバーのイメージが強すぎて最初はミスキャストなのではないかと思いましたが、徐々に一人前のアサシンとして成長していくと繊細さを帯びながらも逞しく、逆に最初のなよなよしたような声とのギャップで成長が実感でき素晴らしい存在感でした。
 
 倒すべきテンプル騎士団の仇でありながら、実の父でもあるヘイザムとの父子関係を描くのに、この声の繊細さは非常にプラスに働いており、あまりのコナーの魅力にファンになってしまいました。
 
 
UBIのオープンワールドゲーム

 
 
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