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エンタメ不感症の患部に巻く包帯

好きなものについて語るブログ

サモンナイトエクステーゼ/夜明けの翼

 

OPアニメーション


点数:60点

 

短評

 アクションゲームとしては戦闘の駆け引きがイマイチで、RPGとしては成長要素やバトルのセッティング部分などに不満が残る、なんとも中途半端なバランス。
 アクションRPGの基本に忠実な部分には好感が持てるが、基本に忠実なだけで、それ以上の飛躍がない。
 
 

メタ的な設定を生かしきれない、ドラマの盛り上げ方の下手さ

 
 サモンナイトなのにリィンバウムとは異なる世界が舞台で、序盤からこの世界は何か普通とは異なるルールがあるということが示唆され、その謎が中盤で明らかに。明かされる謎自体は衝撃的なもののはずなのに、イマイチ体感でショックを受けないのは問題。
 
 ありそうであまりない、ゲームがゲームっぽいことの理屈付け(なぜ序盤の敵は弱く徐々に強くなっていく?、など)がされる設定は興味深くはありますが、その反則的なメタ設定を生かすようにシナリオが作り込まれていません。
 やりようによっては、この展開だけでゲーム史に残れたかもしれないのに、この作り込みの浅さは悔やまれる限り。適当に表面上の設定だけ作って、それをプレイヤーに提示するやり方に工夫が足りず、せっかくの面白い試みが空回りしているような印象を受けます。
 
 一見穏やかに見える人々の有り様が、実は残酷な結末を暗示しているという、平穏の不気味さを際立てる演出が足りませんでした。
 幸せそうに暮らす人達が実は哀れな存在であることが分かる中盤以降、世界そのものから平穏というメッキが剥がれ、正義と悪が逆転し、人に親切にしてきたこれまでの振る舞いが実は致命的に他人の将来を殺すかもしれないという可能性に気づき、プレイヤーがしてきた行為の意味が変質する展開はうまくやれば極上のストーリー体験になり得たはず。
 
 劇中のイデオロギーの対立構図などを丁寧に描き、なぜ意見が対立する者たちがいるのか、そのどちらが正しいのか、プレイヤーに考えさせ、悩ませるプロセスにもっと尺を割くべきでした。
 
 サモンナイトシリーズの牧歌的なトーンを逆手に取った設定はうまいですが、手法(テクニック)で失敗しているのが残念。
 
 そもそもこのネタを成立させるにはアクションRPGというジャンル自体と相性が悪く、もっとシナリオや世界観設定を作り込め、自然にそれをプレイヤーに提示できるようなアドベンチャー的なパートがあるようなジャンルでないと難しいのかもしれません。
 
 

主人公をスイッチさせるタイミングが微妙

 
 いつでもどこでも男主人公と女主人公を切り替えられるシステムですが、この二人のキャラの能力的な差別化がいまいちされておらず、結局それぞれのキャラでしかダメージを与えられない敵というご都合主義的なものを配置し、ゲーム側の要請で半ば強制的にスイッチを押しつけられる作りが雑。
 
 もっと通常攻撃メインタイプと召喚術メインタイプなど、戦い方に差異を持たせ、敵に応じて自然とプレイヤー側がスイッチしたくなるバランスで作るべきでした。
 同じ召喚術を両方のキャラが共同で使えるため、どちらでも同じような戦い方(属性攻撃など)ができ、結果、待機している側はHP・MPを回復できるため、回復のためのスイッチにしかなっておらず、意味をなしていません。
 
 キャラスイッチは受動的でなくプレイヤーが能動的にしたくなるようなバランスで作るべき。
 
 

リアルタイム戦闘は○、セッティングは×

 
 戦闘中に召喚術をリアルタイム発動できるという点は好感が持てます。が、いかんせん、全体の難易度が低すぎることの弊害で、召喚術という選択肢を用いずとも、通常攻撃のごり押しで敵を倒せてしまえるため、意味をなしてすらいません。
 
 召喚術の攻撃力が男女主人公とも軽い相性があるだけで、大して変わらないため、どちらがどんな召喚術を使っても結果に差異がなさすぎます。もっと召喚術の威力を数値化して威力を可視化させたり、男主人公と女主人公で使える召喚術に違いを持たせたりしないと飽きてきます。
 
 ポケットという欄に召喚術をセットし、セットされている召喚術を戦闘中にリアルタイムで切り替えながら戦えるというインターフェース周りは非常に好みなため、もっと召喚術を切り替えながら戦う戦闘にスリルがあったら楽しさが倍増していたはず。
 
 後、リアルタイム戦闘なのですから、メニュー画面を開くのもリアルタイムが好ましいです。時間が止まるタイプのメニュー画面のせいで、敵が目の前にいるのに平気でセッティングを弄れるのは興が削がれます。どこか特定の場所でしか召喚術のセッティングができないシステムにしたほうが、どの召喚術をセットするかいちいち考えさせられて楽しめたはず。
 
 

召喚術を使った宝箱回収はいい感じ

 
 メインの謎解き関連はほぼ特定の召喚術を使う事で自動的にクリアできるだけで味気ないですが、召喚術を用いる宝箱回収はそこそこ面白く、つい獲り逃した宝箱を探してあちこち歩き回ってしまいます。
 召喚術の利用の仕方がうまいというよりは、わざとらしく序盤で取れない場所にある宝箱を見せ印象づけした後でその回収方法(召喚術)を遅れて入手させるという、タイミングのずらし方がうまいです。
 
 宝箱が見えているのに取れないというストレスがいい感じで膨らんだ後に回収されるため、より宝箱のある場所に辿り着いた時の快感が大きくなっています。
 
 

まとめ

 
 面白いと思う箇所は序盤で消費し尽くし、後半は作業化していく、典型的な手数が足りないシステムで、満足度が低いです。
 好きな点もちらほらありますが、物足りなさのほうの印象がより強く残ってしまう残念なバランス。
 召喚術がウリのはずなのに、それが微妙でさほど役に立たないという点が、このゲームのバランスの悪さを象徴しているよう。
 
 

余談

 
 2Dドットキャラの挙動がぎこちないのが少々気になりました。もっとモーションの動画枚数を増やしてアニメーションを滑らかにしてくれないと動きがカクカクしていて気持ち悪いです。
 後、些細なことですが、キャラの向きが変わると武器を持つ手が右手になったり左手になったりと統一感がない点も引っかかってしまい、集中できない要因に。
 
 ラスボスが負け組の嫉妬心の塊という設定は、どうも作り手の「俺たち選ばれし者」アピール感が透けて見える様で好きになれませんでした。
 
 

 
 

 

サモンナイトエクステーゼ 夜明けの翼

サモンナイトエクステーゼ 夜明けの翼