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エンタメ不感症の患部に巻く包帯

好きなものについて語るブログ

プリズマティカリゼーション

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OPアニメーション


点数:70点

 

短評

 ループ型のストーリーに干渉できるシステムが斬新で素晴らしい。
 システム・文体・テーマが奇妙に融合しあい唯一無二な作品に仕上がっているが、プレイしていて楽しいという類のものではないのが残念。
 
 

あらすじ

 
 受験生である主人公は、幼馴染みの明美と勉強合宿をするため、明美の知り合いが経営するペンションに訪れる。気の合う数人の宿泊客の少女や、ペンションのスタッフとの出会いを満喫する主人公。しかし、二日目、ペンションのスタッフである少女が必死で探していた謎のクリスタルを拾ったことが引き金となり、ペンションを訪れる直前に時間が戻ってしまうように。永遠にくり返す二日間のループ現象の原因とは……。
 
 

イデアは◎、楽しさは△

 
 このゲームをこのゲームたらしめている最大の要因は、ループ型のストーリー展開をプレイヤーに管理させるという斬新なアプローチ。
 ゲーム内で起こる出来事の状態を5つまで記録(ストック)でき、それが次以降の周回プレイ時に対応した箇所でオートで解放(消費)されるというシステムは素晴らしく、ループ現象に巻き込まれたという自覚の無い主人公をプレイヤーが能動的に物語に介入し導くという点において、ただの受動的な物語体験ではなくアドベンチャーゲーム的な能動体験となっています。
 

システムの例

雨が降るという状態を記録
        ↓
次の周以降に状態が解放され同じように雨が降る
 
バンの中に手に入れた本をしまったという状態を記録
        ↓
次の周以降に状態が解放され最初から本を所持している
 
 
 ただ、斬新で目を見張るシステムとは裏腹に、キャラクターや舞台、物語それ自体は特に惹かれる要素に乏しい陳腐なものに過ぎず、結果、システムは魅力的なのに、そのシステムを用いて周回プレイさせられるお話自体が退屈で辛いという残念な出来に。
 これは、プレイヤーがループの中でイベントを発生させたくなる様な魅力的なシチュエーションを設置できていないことが大きな原因と思われます。最初に謎があり、その謎をシステムを用いて解き、先に進めることそのものが快感として機能しなければならないのに、このゲームは何に使うか分からない状態が記録(ストック)され、次の周で予想していない箇所で解放されてしまうため、自ら謎を解いて先に進めたという達成感が著しく弱いです。
 
 例えば、あるキャラクターの心を開くには、そのキャラクターと関係が深く、秘密を知っている人に話を聞き、それを記録しなくてはならない、など、謎解きまでの経路をプレイヤーが頭の中で想像でき、行動の指針を立てられるようにお膳立て(ナビゲーション)をするべきでした。
 
 それに、状態を次の周に持ち越すというシステムは面白いですが、それがプレイヤーの判断ではなく、自動的に解放されてしまうという点がやや面倒で、これによって無駄にパズル要素が加わり、無意味な周回プレイが増えてしまいます。謎解きに悩まされるならまだ分かりますが、どの記録を持ち越すのか、記録の持ち越し管理にまで悩まなくてはならなくなり、複雑さに拍車を掛ける羽目に。
 持ち越せる状態に上限を設けるのはいいのですが、解放のタイミングはプレイヤー側に委ねてくれたほうがもっと純粋に謎解きに悩めて話に集中できたはず。
 
 アイデアが志向していることの斬新さはワクワクさせてくれるのに、結果プレイすると味気ない無味乾燥な作業感しか覚えない残念なバランスとなっています。
 
 

テーマとリンクする主人公の一人称語り口

 
 やろうとしていることは端的に言ってうじうじしている理屈屋の主人公が、悩むことを止めて一歩踏み出すという、ただそれだけの話。
 ですが、ぐるぐる同じところを回り続けるループ型の物語と、現実を複雑に捉えてあーだこーだ言っては傍観者に徹し、対象と距離を取りたがる主人公の持って回ったような一人称語り口が奇妙にリンクし、この作品の味として機能しています。
 
 

ループ系という設定に特化した物語構造をしていない

 
 プレイヤーは何十周もしているのに主人公にはループしている記憶がないため、劇中はただ少し変わった一日が経過しただけのこと。映画の恋はデジャブのような主人公がループを自覚しているタイプの劇的な成長のようなものは起こりえないため、ややカタルシス不足感があります。ループ系という奇抜な設定を用いているのにも関わらず、その奇抜さからもたらされるべきカタルシスは物語の地味さゆえに欠如しているため、エンディングを見た後の「これで終わりなの?」というぽかんとさせられる余韻は自分的にはマイナスに感じられました。
 
 地味なテーマや物語が悪いというワケではなく、ループ系という現実にはあり得ない設定(ルール)で物語を語るのに、地味なテーマや物語は、その設定と相性があまり良くないように思います。
 ループ系という設定の面白さを最大限発揮するには、ループ系というシステムに特化した題材やストーリーテリングというものがあるはずで、この作品はそこから大きく逸脱してしまっている印象を受けます。
 
 

まとめ

 
 物語に干渉できるシステム自体は喜びですが、その物語自体に魅力が乏しいため、喜びが半減してしまっている残念な作品。
 
 大変素晴らしいコンセプトなゲームであるため、プレイして損はありませんでした。
 
  

 

SuperLite 1500シリーズ Prismaticallization

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