エンタメ不感症の患部に巻く包帯

サモンナイト5 〈感想・レビュー・評価〉

 

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点数:55点

 
 

短評

 携帯機用のゲームデザインになったため、シナリオ・世界観設定・システムと、あらゆる要素が据え置きシリーズからスケールダウンし、これまでちゃんと出来ていたことすら出来ていない、全体的に安っぽい続編となった。
 
 

気色悪いキャラクターの掛け合い、魅力の乏しい舞台(世界観)、弱すぎるシナリオ(ドラマ)の三重苦

 
 今作はサモンナイトシリーズでもダントツに最下位な薄く・浅く・盛り上がらないシナリオで辟易させられました。
 
 キャラクターの描き込みも浅く、主人公は最初からいい人で、どんな時でもいい人で、やはり最後までいい人であり続けるため、ドラマが生まれようもなく、ただのバカにしか見えません。変化・成長という物語には必要最低限の要素が抜け落ち、聖人のような主人公を周りが察し、影ながら励まし、支え続けるという気色の悪い関係性を延々と見せられ拷問のよう。
 
 主人公の周りにいるキャラクター達はすでに主人公と交友関係を深めた後の状態のため、基本的に対主人公の印象に変化が生じません。
 信頼しあっているという結果だけ見せられ、その信頼が生まれたプロセスは描写されないため、そこまで主人公が無条件に愛されている状態にプレイヤーが入り込む余地が皆無。
 
 ワンピースで例えると、すでにルフィとゾロ、ウソップ、ナミ、サンジ、チョッパーの間で揺るぎのない厚い仲間意識が形成された後のアラバスタ編から話が始まり、なぜこの人達がルフィに対し絶大な信頼を寄せているのかさっぱり分からない状態。
 
 へらへらしていて目先のことしか考えず、敵の陽動にあっけなく引っかかった主人公を「お前はそういう奴だから仕方がない」となぜか問い詰めもせず許してあげるプロ意識の欠片もない甘々なクズみたいな召喚士集団にストレスばかりが募ります。
 
 舞台となるセイヴァールという街も、掘り下げが足りないため生活感がなく、舞台そのものがキャラクター化して浮き上がってきません。リィンバウム(舞台となる異世界)の他の土地と比較・相対化されず、リィンバウムの中でもかなり特殊な街と劇中で言われているのにも関わらず、セイヴァールの特殊性に実感が湧きません。
 舞台を固定し動かさないのであれば、最初はほのぼのとしたいい街として描き、徐々に裏の顔が浮かび上がってくるなど、サスペンスフルな街演出をしないと、淡白に感じます。
 
 例えばバイオハザードのように、最初はただの郊外の洋館だと思っていた場所が実はアンブレラ社の生物兵器研究所のカモフラージュ用の建物だったと分かるなど。
 
 人も街も最初と最後で特に印象が変わらないため、刺激にならず、記憶にも残りません。
 シナリオもサスペンスが薄く、分かりきっていることが延々明らかになっていくだけのとろくさい展開で、特にスケール感が大きくなっていくワケでもなく、退屈この上ないです。
 
 シナリオは全体的にゲーム自体のボリューム不足のしわ寄せのためかこぢんまりとした印象に落ち着いてしまっています。
 
 

単調で一本調子なバトルだが、今作から取り入れた新しいシステムは好印象

 
 狭く代わり映えしないマップと、同じくバリエーションに乏しい敵ユニットが連続するため、既視感のあるステージが続きます。いちいち通常攻撃にもカットインが入る様になったのも煩わしさに拍車を掛ける始末。
 
 携帯機向けのゲームデザインのためか、これまでのシリーズに比べ、一戦一戦の時間を短縮し、バトルそのものというよりはスキル・武器カスタマイズ・召喚術強化・パーティ能力セッティングなど、むしろバトル前の準備段階に手を加える要素を増やし、面白さの勘所をバトルからセッティングにズラしたような印象を受けます。
 一定水準の中毒性はあるものの、それだけで引っ張るにはまだプレイヤーが自由に弄れる要素が少なく、作り込み不足感が否めません。
 
 ただ、ノルマを達成することで上昇するブレイブポイントを消費してやりくりするバトルや、MPを溜めると覚醒強化できるというシステムのため、MPをなるべく消費しないように立ち回るなどの要素は従来のシリーズとは異なる面白味で楽しめました。
 過去作にはなかった敵を攻撃する際に予想ダメージ量が表示されるというシステムが追加されていたり、非常に遊びやすくなった一面もあります。
 
 

召喚士が強すぎる

 
 従来のシリーズと異なり、戦闘しただけでMPが回復したり、そもそもMP消費0で使える召喚術があったりと、召喚士の使い勝手が良すぎるきらいが。特に広範囲攻撃が強力で、単体に対して高威力な召喚術よりも使い勝手がよすぎます。
 マップが狭く敵が密集しやすいことも広範囲攻撃の反則的な使い勝手の良さに拍車を掛けています。
 
 

まとめ

 
 据え置きシリーズの続編を携帯機で出した時に生じるスケールダウン感をなぞり、良い部分と悪い部分で、圧倒的に悪い部分が勝ってしまっている典型的なダメ続編。
 
 

余談

 
 “果てしなき蒼(ウィスタリアス)”など、ルビ振りだらけの面倒な読み方をする固有名詞が多いため、辞典のようなシステムを入れて欲しいところ。5pbのゲームに入っているような便利な単語検索機能がついていたら、もう少し世界観設定の理解度が増したはずです。
 
 召喚術のアニメーションカットインがこれまでの2DアニメーションからCGに代わり、派手さが鳴りを潜めたのも残念。
 
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