エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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アンダーワールド

 

トレーラー


 

点数:60点
 

あらすじ

 かつてヴァンパイア(吸血鬼)族の奴隷だったライカン(人狼)族はある事件をきっかけとし、主人であるヴァンパイア族に反逆する。飼い犬(狼)に手を噛まれたヴァンパイア族は激怒し、ライカン族を根絶やしにするため1000年に渡りライカン狩りを行い、その過程で反乱の首謀者でありライカンのリーダールシアンを仕留めた。ルシアン亡きライカン族はもはや絶滅必死かと思われていた矢先、ヴァンパイアの処刑人であるセリーンは死んだはずのルシアンを目撃。ルシアンはなぜかヴァンパイアでもライカンでもない、ただの一人の人間の男に固執していた……。
 
 

クロウの美術そのまま

 

“「クロウ」でブランドン・リーとプロヤスが考えた黒のロングダスターコートを着てのアクションはその後『マトリックス』をはじめ世界中の映画でパクられた。

「特に『アンダーワールド』はひどいね、何もかも『クロウ』じゃん!」
とプロヤスも怒っていた。”

 

 映画評論家の町山智浩さんがアレックス・プロヤス監督にインタビューした際に、アンダーワールドの美術がまんまクロウと同じだとプロヤス監督が指摘した記事
 
 
 クロウそのままの美術や、ありきたりなヴァンパイアやら人狼やらという設定、マトリックスの出来損ないのようなアクション(マトリックスは設定とアクションが完璧にリンクしているため問題はない)など、全てが使い古されたものを寄せ集めただけのモザイク。このようなストーリーの面白さで引っ張らずに画面の美しさだけで持たせようとする美術特化型の映画には不可欠な作り手の病的なまでの細部へのこだわりが不足しているように思えます。 いかに見る者を「こんな美術見たことがない!」と感嘆させ、従来の美的感覚を更新させるかが鍵なのに、そこまでは至れていない印象。
 

ヴァンパイアとライカンの犬(狼)も食わぬ仲描写が足りない

 
 ヒロインのセリーンが背負っている過去は掘り下げが足りなさすぎて重みがなく、行動動機として機能するほどの効果がありません。
 この話の目的がライカンに家族を殺されその復讐という体なのに、家族絡みのエピソードが致命的に不足し、見る側に強く復讐を望ませるような脚本になっておらず、その結果ヴァンパイアとライカンの軋轢までも軽く見えてしまいます。このセリーンのライカンへの憎しみはそのままヴァンパイア族とライカン族の埋まらない溝、ないしはライカンへの偏見を象徴しているはず。なのに、それが軽いため、ルシアンがヴァンパイアに反乱を起こしたキッカケを知り、ライカンに対して思い違いをしていたことに気づくという展開がまるで生きてこないです。
 
 このセリーンのライカンへの憎しみを見る側にも共感させておかなかったせいで、それを裏切るという終盤の展開がとってつけたような印象になってしまっています。
 
 

ちぐはぐさが終始ノイズに

 
 ゴシック的な品のあるずっしりとした美術の方向性と、マトリックスもどきの安っぽくて軽いガンアクションが噛み合っていません。このような趣のあるような世界観を説得力を持たせて成立させたいならアクションはむしろ美術を立て、美術に従属し、控え目なものにしたほうがうまく調和が取れたのではないかと思います。
 
 美術とアクション、双方を持ち味にしようとして欲張った挙げ句、アクションと美術がお互いを殺し合ってしまっている、そんな印象。
 
 

まとめ

 
 特殊メイクや美術、一部映像演出(バイオハザード初代のハンターを思わせるライカンの主観カット)など良いと思える箇所もちらほらあるため、一概にダメというワケではありません。
 
 世界観設定も銃火器周り、特に弾の種類が豊富で、軍用の対ヴァンパイア弾やら、銀アレルギーであるライカン用の高含有銀弾やら、太陽光と同じ効果を持つ紫外線弾などといった固有名詞は聞いているだけでワクワクして楽しいです。
 
 しかし、全体としては薄いドラマ、古臭いアクション、どこかで見たことのあるようなゴシック美術と、一本の映画として満足のいく面白さかといえば否です。
 

 

 

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