エンタメ不感症の患部に巻く包帯

好きなものについて語るブログ

LUCY/ルーシー

 

トレーラー


点数:60点

 

あらすじ

 
 ルーシーは友人から嫌々押しつけられ仕事のせいで韓国人ギャング集団に拘束され、謎のドラッグCPH4の運び屋をやらされる羽目に。しかし、偶発的にCPH4を摂取してしまい、そのせいでルーシーの脳は異常発達を始め、人間を超越した知的生命体へと進化していく……。
 
 

ルーシー≠マトリックスのネオ

 
 ルーシーという存在のバックボーンがほとんど描かれず物語が開始されるため、感情移入もできなければ、進化していく過程でどのような認識の変化が生じていくのかも実感が湧きません。
 序盤にルーシーという人には世界がどのように見え、それに対してどのような認識を持っているのかじっくり描いてからでないと、脳が進化し世界の見え方が変貌していくという展開の発見や驚きが希薄になります。
 
 どこにでもいる自分と同じ普通の人間だったルーシーが得体のしれない存在へと進化し、常人には手が届かない領域に突き進んでいくことに恐怖なり憧れだったりという感情を抱かせなければならないはずなのに、最後まで他人ごとにしか感じられません。序盤でルーシー=自分という認識を持たせられなかった失敗が最後まで尾を引き続けます。
 マトリックスのネオのように、この世界が本当に現実なのか確信が持てないなど、見る者にある程度共感を抱かせるような世界(現実)への違和感を先に描いておけば、一人だけ知的進化したルーシーに置いてきぼりを食らうような切なさが生じたかもしれません。
 
 

サスペンス的な展開を志向している割りに薄いサスペンス要素

 
 序盤の韓国人ギャングに拘束される展開と、中盤以降のルーシーの脳が進化していく展開とがまったく噛み合っておらず、相乗効果が生まれていません。
 
 ルーシーがあまりにも人間を超越した能力を備えているのにも関わらず、銃を撃ち合うという終盤のガンアクション展開はただの茶番にしかなっておらず、退屈。一度超常的な能力に敗北し小者感が漂っているのにも関わらず、ほぼ無策に近い形でルーシーに復讐しようとするギャングは著しく緊張感を削ぐ原因に。
 
 ギャングなどという無駄な設定は序盤で壊滅でもさせてしまい、素直に進化による副作用で体が崩壊していく恐怖などをメインのサスペンスとして持ってきた方が幾分マシになったはずです。脅威のグレードアップがされず、延々脅威でもないギャングが継続して脅威として描かれ続けるため白けてしまいました。
 
 

この作品の一番の問題点は進化イメージの陳腐さ

 
 ルーシーが本来は使われていない脳の深い領域へアクセスできるようになり、徐々に人間離れした存在になるというアイデアはそれほど斬新ではないものの、描きようによっては面白くできたかもしれません。
 しかし、劇中で描かれる脳が進化していくという描写があまりにも陳腐。脳の使用率が数字で表示されたり、瞳の色彩のパターンが変化したり、ルーシーの思考が高速カットバックで表現されたり、マトリックス的に情報が可視化されて目の前に見えたりと、どこかで見たことがある様な凄いことが起こってますよ表現から特にコレといって前進していません。
 
 結局、人間が未だかつて到達したことのない脳の深層に辿り着き、人ではない何かに進化してしまった未知の存在などというとんでもないイメージを、大して演出力もなく映画監督としてそれほどの領域にも達していないリュック・ベッソン監督が手垢まみれの手法で描き切れるはずもなく、自らの表現力の限界が露呈して終わるだけでした。
 
 

まとめ

 
 知的進化した人類を描くには、リュック・ベッソン監督がもっと映画監督として進化する必要があることが分かります。