エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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フライトゲーム

 

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点数:70点

 

あらすじ

 航空保安官のビル・マークスは飛行機内での職務中、何者かに「1億5000万ドルを指定した口座に振り込め、さもないと乗客を殺していく」と要求される。予告通り人が死に、新たな殺人を止めるため事件を上司に報告するも、犯人の指定した口座がビル自身の口座であることが分かり、逆に疑いの目を向けられてしまい……。
 
 

サスペンス映画のはずがアクション映画に

 
 本来ならプロフェッショナルで強い主人公とパラノイア的サスペンス展開とは犬猿の仲で、非常に相性が悪いです。それぞれの目指すべき方向性は、片方はプロとしての安定性、片方は自分の視座に自信が持てない不安感なのですから、この二つを両立させようとした場合、必ず齟齬が生じてしまいます。この映画はその齟齬を解消せず内包したまま話が進むため、めっぽう強い主人公がサスペンスという迷宮に放り込まれても自分の現在地を一度も見失わずになんなくゴールまで辿り着くという当然の帰結を見せられるだけで退屈この上ないです。
 
 主人公の設定以外の部分も概ね薄味。見ている側がこの事件の解決を望むような動機付けもないまま、面白気なだけの底の浅いサスペンス要素をこれでもかと詰め込みすぎ、その結果一つたりとも満足のいく水準に達していないという残念な出来映え。
 
 欲張ってアクションとサスペンスという二兎を追いかけてしまった結果両方を獲り逃してしまっています。
 
 

集中力の無さが仇

 
 ジャウム・コレット=セラ監督は確かな演出力を持っています。飛行機内という限定された空間にも関わらず、的確なカメラの置き方や振り方で出来る限り飽きさせない絵作りをし、テンポのいい編集で小気味よく話を語ってみせる。映像だけ見れば文句なしに一級のサスペンスなのですが一つのことに集中できないという弱点があります。
 アクションを入れてみたり、タイムリミットを入れてみたり、犯人捜しをさせてみたり、主人公を孤立させてみたりと、節操なく次から次にサスペンス要素を切り替えていき、そのどれも中途半端で物足りないだけです。
 
 もう少し要素を絞って掘り下げれば幾分かマシにはなったはずですが、現状ではサスペンスが広く浅いだけで一つたりとも見る側を深く強烈に惹きつける面白味がありません。
 
 

まとめ

 
 パラノイアサスペンスとしては主人公の追い詰められ方が甘く、アクションサスペンスとしてはそもそも飛行機内という限定空間で派手な見せ場もなく退屈。
 
 ただ、撮影・演出ともにサスペンス映画としては非常にハイレベルなため、話としては不満だらけですが、映像を見ている分には大いに楽しめました。
 

 

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