エンタメ不感症の患部に巻く包帯

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バタフライエフェクト3/最後の選択 〈感想・レビュー・評価〉

 

トレーラー


点数:60点

 

あらすじ

 
 過去へと飛び、起こった出来事に干渉する力を持つサム。サムは、かつて恋人を殺人事件で失うという苦い思い出を持つ。犯人は捕まり、もう少しで死刑執行という折、死んだ恋人の姉から犯人は別にいる可能性が高いという相談を受ける。できるだけ過去に干渉することを控えているサムだったが、恋人を殺した真犯人の正体を突き止めるべく意を決し恋人が殺される時間へと飛ぶが、そのせいで本来死ななかったはずの者までが殺され、徐々にサムの人生の歯車まで狂っていく。サムの恋人を殺した真犯人の正体とは……。
 
 

秀逸なアイデアも雑な脚本で台無し

 
 過去に干渉出来る能力を持った主人公が、不本意ながら過去を改変してしまった結果、本来なら存在しなかったはずの殺人鬼が生まれ、その殺人鬼の正体を知るためにさらに過去に干渉し続ける、というアイデアは斬新というほどではないですが、惹かれるものはあります。が、いかんせん脚本が粗すぎて作り手の意図したサスペンス的な緊張感とミステリー的な謎解きの気持ちよさは両方とも薄味となってしまっています。
 
 一番問題なのは、作り手が見ているこちら側の視点の動きをトレースできていない点。どのようなことに興味を持ち、どのタイミングで過去に干渉して欲しいと思うかというこちら側の心の動きと主人公の行動が常にずれたまま同期されず、サスペンス映画には絶対必要な感情移入が浅いまま最後まで深まりません。
 過去に干渉するタイミングもずれているのに、過去を改変した結果主人公の身に起こることも見ている側の感覚からすると首をひねらざるをえないような不可解なもので、なぜ過去をああ変えると主人公の現在がこう変化するのかという理屈に納得がいかないことが多々あります(ある人物へ献身する必要がなくなったためでしょうが)。
 本当なら最初に説明しておかなければならない能力のルール説明まで省いているため、終盤の展開で唐突な後出しのような設定が加わり、困惑させられます。
 
 このようにそこここに脚本の粗が目立ち、映画のテンポ自体はいいのにも関わらずそれを充分生かし切れていません。もっとゲームのシュタインズゲートのような複雑な伏線処理をできるような脚本家でないとこのアイデアの面白さをフルに引き出すことは困難でしょう。
 
 映像演出の力量はそこそこあり、編集のテンポもいいため、脚本さえしっかりしていれば、もうワンランク上の完成度を狙えたのに非常におしいです。
 
 

ミステリー的な謎解き要素を入れてしまったがゆえのスケール感ダウン

 
 アイデアは魅力的だと上記しましたが、その反動としてバタフライエフェクト要素(過去改変の余波)が連続猟奇殺人事件に限定されたせいで、このシリーズの最大の魅力である過去を改変して現在に戻ると主人公の周りの環境ががらりと一変しているというめまいを覚えるような衝撃展開の魅力が薄まってしまっています。
 
 過去に干渉しても変化するのは見ず知らずの事件の被害者だったり、それほど本編に影響はしない程度の周囲の主人公への評価だったりで、この改変による影響の弱さが最も物足りない部分です。
 
 

まとめ

 
 サスペンスがウリのシリーズにミステリー要素を入れたはいいが、うまく捌けていないため雑な印象だけが残るというガッカリな続編。
 
 

 

 

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