エンタメ不感症の患部に巻く包帯

シーフ(2014) (Xbox360版) 〈感想・レビュー・評価〉

 

トレーラー

 

点数:65点
 
 

短評

 
 あらゆる要素にもう一押しが足りない凡庸ステルスゲーム。基本は抑えているが、それ以上のものが一つもなく、悪くはないが良くもないという微妙なバランスの作品。
 
 

独自性が貧弱

 
 アサシンクリードの化け物じみたパルクールの快楽性、デウスエクスレベルデザインと呼応して威力を発揮する完成度の高い成長システム、メタルギアソリッドのゲーム体験に高級感と味わい深い余韻を与える物語性など、今作はそのゲームをそのゲームたらしめる魅力の核になる様な部分が薄く弱く、どうしても相対的に他のステルスゲームに比べると魅力が乏しくアピール不足感が拭えません。
 
 物を盗む際の小気味いい演出やSE使い、闇に乗じるために灯りを消す瞬間など、プレイしていて楽しいと感じる瞬間はいくつもありました。特に、闇に乗じるために灯りを消すという感覚はプレイしていると暗さというアドバンテージがいかに重要かが自然と分かるため、明るいと不安で落ち着かなくなってくるほど魅力的です。自分が今どれくらい目立っているのかをざっくりした色(目立っていると白、隠れていると黒、など)で伝えるだけでなく、もっとメタルギアソリッド3の迷彩服や、4のオクトカム(段ボールも可)のようにプレイヤー側にカモフラージュの仕方の自由が与えられれば、敵から丸見えなのに接近されない限りは発見されないという心地よい緊張感を味わえるシステムにより磨きがかかったはず。
 
 ですが、現状はシステムがどれも一過性の楽しさで止まってしまい、それがインセンティブ(報酬・刺激)として充分かと言われれば微妙で、ただ盗む物がそこにあるから盗む、ただ消せる灯りがそこにあるから消すという、ただその場で出来ることを受動的にこなしているだけで、ゲーム体験としては能動性が足りず、非常に薄いです。
 
 物を盗みお金を貯めてアイテムを購入するなどのバイオハザード4・5・6や、デッドスペースの周回プレイスタイルにも似たやり込み要素もありますが、これらのタイトルの様にやり込みたいと思わせるほどにはシステムに魅力がありません。
 
 後、主人公は盗賊で物を盗むということが目的のはずなのに、なぜかさせられることといえばアサシンクリード的なマップ上は確認できるのに容易には辿り付けない場所への侵入ルート探しだったり、トゥームレイダーアンチャーテッドのようなギミックを用いた遺跡の謎解きだったりと、盗賊というメインコンセプトからはやや逸脱したような内容のものが多く、ゲームデザインがややぼやけてしまっている印象すら受けます。
 
 

舞台となる街(シティ)の演出が物足りない

 
 アクションゲームとしてそれほど操作性がいいわけでもなく、システム的にもパッとせず、ストーリーも退屈なため、せめて雰囲気ゲーとしての魅力を最低限は確保して欲しいところですが、街に思い入れが生まれるような作りでないため、それも叶わず。全体的にロンドンチック?な雰囲気はそこそこうまく醸しているのに、いかんせんこの街に愛着を持つまでには至りません。街に対して思い入れを持たせるような試みが物語的にもシステム的にも充分になされないため、ただ次のチャプターが開始するエリアに辿り着くまでの通り道か、たまに買い物に訪れる場所程度の存在感しかなく、せっかく雰囲気は出せているのにそれが「この街についてもっと知りたい」という欲求としては機能してくれません。
 街に対して思い入れを持つというプロセスをプレイヤーに丸投げしてしまっているのが裏目に出ており、もう少し丁寧にこの街の政治情勢や、イデオロギーの対立構造などの世界観設定を自然と掘り下げていく様なストーリーテリングを心掛けてくれないと、システム的にいまいちなことも相まって、この街、延いてはこの作品そのものへ興味が湧かず、プレイ開始直後の街への印象とクリアした後の印象、延いては作品への印象・評価が変化するほどの思い入れも生まれません。
 
 オープンワールドに見せかけて細かくエリアが区切られているという構造上のややこしさも街に対しての印象を下げる原因で、このせいでただでさえ迷路のような構造の街なのに、さらにエリアごとの繋がりが飲み込み辛く、複雑さに拍車を掛けてしまっています。民家の窓を開けたらいきなりエリア移動してしまったり、ぱっと見そこに入るとエリア移動するということが一切分からない箇所があるのも不親切でストレスが溜まります。
 
 

まとめ

 
 決して悪いゲームではないですが、常にプレイ中何かが足りず、しっくりこないそわそわするような据わりの悪さを感じ続ける困った感触の作品。
 
 やればやるほどアサシンクリードメタルギアソリッドデウスエクスやクライシスがステルスゲームとして別格級の完成度なのかが逆説的に分かってくるため、いかにステルスゲームを魅力的に際立たせるためには核となるパンチの効いたシステム(アイデア)が重要になるのか考えさせられ、それはそれで有意義でした。
 
 
ステルスゲーム

 

 

シーフ

シーフ

 
シーフ

シーフ

 
シーフ 【CEROレーティング「Z」】
 
シーフ

シーフ

 

 

 

 

ソードアートオンラインII(アニメ) 〈感想・レビュー・評価〉

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トレーラー

 

点数:75点

 
 
※原作未読
 
 

あらすじ

 
  ゲーム内通貨をリアルマネーに変換できるため、日本で唯一プロのプレーヤーが存在するVR(バーチャルリアリティ)MMOゲームであるGGO(ガン・ゲイル・オンライン)
 GGO内でデスガンを名乗る謎のプレーヤーが銃弾を放ったのとほぼ同時刻、撃たれた側のプレーヤーが現実死亡するという不可解な事件が発生。総務省仮想課の菊岡誠二郎から依頼を受け、キリトはデスガンがゲーム内で人を撃つだけで本当に現実の人間を死に至らしめることが可能なのか調査するため、GGOに潜入することに……。
 
 

ハーレム要素の反省と克服

 
 見る前の一番の懸念材料だった、前シリーズの度を越した不快なハーレム要素は鳴りを潜めており、とりあえずそこは一安心でした。前シリーズのヒロインだったアスナと恋人関係になっているため、二人のいちゃラブが増えてはいるものの、不快さまではいかない程度には抑制されており、作り手の反省が窺えます。
 
 それどころか、今作の前半部のヒロインであるシノンに至っては、最終的に主人公に好感を持つという下手をすれば前シリーズのハーレム展開の二の舞にもなりかねない立ち位置ながら、しっかり主人公のキリトと同じ様な悩みを共有させ、それをお互いが吐露し合い徐々に二人の間の溝が埋まっていくプロセスを描くため、これまでの女性キャラの中でも最も地に足着いた普通のキャラに見えるなど、明らかにアンチハーレムを意識しており、前シリーズとは比べものにならないほど見やすかったです。
 
 二人が共有する悩みがいくら何でも現実離れし過ぎでまったく感情移入できなかったり、相変わらず意味もなくエロいカットを挟む等の手癖の悪さなど問題も多々ありますが、それでもゲーム内設定の映像への置き換えが興味深く見ていてワクワクさせられたり、サスペンス要素やや強めの見やすいストーリー、それらを支える作画のハイクオリティぶりは前作譲り。
 
 

間延びしているのに掘り下げ不足という残念な構成のバランス

 
 設定は惹かれる要素が多数あり、サスペンスも程よく効いているため、TVアニメとしては大変見やすいのですが、いかんせん今作は構成部分に非常に多くの問題を抱えており、本来ならそれほど長く引っ張る様な内容ではないものをひたすら長い会話で引き延ばしているかと思ったら、今度は絶対に掘り下げないといけない説明や描写を省いたりと、ストーリーテリングのちぐはぐさが目立ちます。結果的に、印象としては速く先に進んで欲しいところはひたすら停滞しテンポが悪く、しっかり描写して欲しいところは満足に納得させてくれず説明不足という、痒いところに手が届かない惜しいバランスに。
 
 特に、すでにコチラ側が知っている情報を複数回事情に疎いキャラに説明するという、説明の重複箇所が多く、もっと説明は一箇所にまとめてパパッと済ませて欲しいところ。
 
 さらに、前半と後半でまったく別の話が始まってしまうため、前半積み上げてきたものが途中で一度リセットされるというあまりにもずさんな構成で、いくらなんでも前半と後半が原作では違うエピソードを無理矢理繋げた話だとはいえ、アニメ用に後半部の伏線になるような要素を前半にさり気なく散りばめておく工夫程度は出来たはず(命に関わる問題という点だけ共通していますが)。前半はサスペンス要素が強く、クリフハンガーで引っ張っていくタイプの見やすい作りなのに、中盤以降は軽いミステリー的な作り方で、原作を読んでいないと一体この話がどこに向かうのか進行方向が掴めず、前半に比べると非常に退屈でした。
 オチが分かると遡ってこれまで退屈だった箇所の評価が上がる作りですが、いくらなんでもオチの衝撃的な内容にやや頼り過ぎており、そこまでいくのに何かオチの展開を強化する様な精神的な土台作りをするわけでもなく、ただどこに向かっているのか分からない話に延々付きあわされ我慢を強いられるという作りは苦痛でした。
 
 ただ、前半はサスペンス強めで楽しいのに、後半に行くにつれ失速していくというシナリオ的な曲線は前シリーズと一緒ですが、ラストに待ち受けている重くシリアスな展開は前シリーズに感じた命を扱っているわりに軽かった印象を払拭し、ソードアートオンラインというシリーズの捉え方を良い意味で変化させてくれました。
 
 

見た目は派手だが中身が空回り気味なアクション作画

 
 全体的に作画レベルは安定しており、特に不満はなかったのですが、作画的に力が入る箇所がところどころ物語的な盛り上がりと一致しておらず、メインの話と関係ない戦闘シーンで突然キャラが動きまくったりと、もはや作り手のとりあえず一定間隔で見栄えのいいアクションシーンを挟んでおけばいいという、投げやりなやっつけ感すら漂ってくるような雑さ。
 
 前シリーズと違い、ゲーム内で死ぬと現実でも死んでしまうという緊張感がデスガン関連の戦闘以外では存在しないため、どうしてもただオンラインゲーム上で対人戦やモンスターと戦うシーンを凄い作画で見せられても、作画の力の入り様ほどには前のめりの姿勢で力んでしまうこともありません。
 
 全体的にドラマシーンよりもアクションシーンに作画が偏重しすぎなきらいがあり、そのせいで大して深まらないドラマの中でアクションシーンだけ異常に動きまくるというアンバランスさが生じてしまい、せっかく魅力的なアクションシーンを描いてもそれが効率よく緊張や興奮、楽しさに変換されず、大部分の作画エネルギーがロスしてしまっており、やるせない気持ちになります。
 
 ただ、ユウキ関連のアクション(特にOPアニメーション)は、オチが分かるとあれだけ誰よりも軽やかに動けていたことに違う意味が帯びるため、アクション作画が良くできていればいるほど逆に切なさが増すという、アクション作画レベルの高さを利用した演出にもなっており、ここは感心させられました。
 
 

まとめ

 
 細かい不満が無数にあり、とても手放しでは褒められませんが、やはり前シリーズ同様、自然に飛び交う耳に心地よいゲーム用語や、ゲーム内設定をアニメ(映像)にトレースする際のアプローチの細やかさなど、ゲーム好きには魅力的な要素がふんだんに盛り込まれており、楽しませて貰いました。
 
 そして、なによりも作り手側がきちんと脱ハーレム意識で作っているため、嬉しいというよりも、ようやくまともな作りになってほっとしたというのが素直な感想です。
 
 

劇場版 遊☆戯☆王/超融合! 時空を越えた絆 〈感想・レビュー・評価〉

 

トレーラー


点数:60点
 
 

アニメーションとしての完成度を墓地に捨て、話の整合性をゲームから除外し、異常な強さの敵カード群とデスティニードロー連発を融合し、手札からサスペンスを召喚

 
 いちアニメーション作品としてはとても褒められた出来ではないですが、劇場版としては一つ前の光のピラミッドを見た際も感じた、デュエルモンスターズというカードゲームのルール設定とサスペンスジャンルとの相性の良さを再確認できました。
 
 デュエルモンスターズのいきなり1ターン目から攻撃力3000やら4000級のモンスターすら召喚できる展開の速さや、魔法カードや罠(トラップ)カード一発でフィールド場の強力なモンスターが全滅したり、逆に全滅したモンスターが全員復活したりという一発逆転が容易なバランス設定のおかげで、1ターンごとに劇的な展開が起こり、それがクリフハンガーとしては強力で、サスペンスというジャンル映画的なことすら可能としている点が面白いです。これは強力なモンスターを召喚するのにある程度リソースを溜めるなど、ターンを要する様なルール設定のカードゲームでは出来ないことで、この一点において、サスペンス好きな自分としては楽しめました。
 
 原作の少年漫画が週刊連載で話を引っ張らなければならないため、衝撃的な展開を次週へのクリフハンガーとするという要請によってカードゲーム自体が逆転が簡単に起こり得るバランスとなり、それが映像作品になると今度はサスペンスとしても機能するというでたらめな順序で成立しているのが奇跡的。
 
 サスペンス展開を盛り上げたいという要請によって生まれたサスペンスの申し子でもあるデュエルモンスターズが劇場作品用にサスペンス部分を強化しまくれば面白いのは当然と言えば当然ですが、プラス、カードゲームという性質上「このカードを使ってこのようなプレイングをした結果こうなった」という相手を負かす展開にある程度論理的な帰結もあるため、起こっていることはインフレしまくりな展開なのにそこそこ見やすいのも好印象。
 
 ですが、どうしても歴代主人公三人がタッグを組み、3対1の変則的なデュエルをするという企画ありきのためか、その人数分の戦力差を補うため敵側の魔法やトラップ、モンスターカードの効果がほとんど何でもありのようになっているのはさすがにノイズに感じる部分もありました。ここは単独で一度デュエルさせ、とても一人で適う相手ではないと印象づけさせてからタッグを組ませる展開のほうが自然だったはず。
 
 後、ブラックマジシャンとブラックマジシャンガールをデュエル中に突然会話させるといった映画としては下品極まりない演出をしないで欲しいです。
 
 

まとめ

 
 サスペンス映画が大好きでサスペンス原理主義的な荒木飛呂彦先生のジョジョに強い影響を受けた原作者の高橋和希先生の漫画が最終的にはサスペンス的な面白さで引っ張る劇場用アニメになるという流れに奇妙な運命を感じた一作でした。
 
 もちろんこの面白さを理解するためには最低限デュエルモンスターズのルールを理解しておかなければならず、やや楽しむためのハードルが高いのが問題と言えば問題。
 
 

 

 

※ 荒木飛呂彦先生がサスペンス映画愛を語る新書

 

ディアブロ3(PS3版) 〈感想・レビュー・評価〉

 

プレイ動画


点数:80点
 
 

短評

 
 完璧に近い美しさのゲームデザインを誇った2とは異なり、アクション寄りで爽快感重視のやや俗っぽい方向性にシフトした結果、アクションゲームとしては数段魅力を増したものの、2の唯一無二感は損なわれた。全体的にどこかが良くなるとその皺寄せを喰らいどこかは改悪してしまっているというパターンが多く、良くなった箇所と改悪した箇所で、改悪の印象のほうがやや勝ってしまう。
 
 

PCゲーム用からコンシューマゲーム用のUIに

 
 キーボード+マウスでの操作を前提としていた2(や3のPC版)から、ゲームパッドでの操作用にキーの割り当てが最小に留められた結果、もたらされる印象にかなりの差が生じる事に。
 全体的にPC用だったシステムをコンシューマ用(ゲームパッド用)に移行するため、キー数が多めで煩わしかった部分を簡易化したり、操作周りがゲームパッド用に最適化されたおかげで非常にプレイしやすくなり、2のやり過ぎで腱鞘炎が悪化した自分としては至れり尽くせりな快適さです。
 
 ただ、2では最重要とも言えるほどの存在感があり、戦闘中に切れたら即死亡だったポーションが今作では取り回しも効果もオマケのような扱いとなり重要性が後退。
 ポーションの重要性を後退させ、スキルツリーによる成長性も廃止し、攻撃スキルのセッティングと運用をメインに据えるというアクションゲーム的な方向性への舵の切り方は失った面白味も相当に大きく、プレイしていると覚える激しい違和感に最初は戸惑いましたが、一週クリアして二週目に入る頃にはすっかり「この爽快感路線もこれはこれでアリだな」と思える程度には馴染み、好意的に受け止められる様に。
 
 

緊張感が死に、爽快感が誕生

 
 自分的に最も2との違いでガッカリさせられたのは戦闘中に死んでも大きなペナルティが存在しない点。まさにその部分のバランス設定の絶妙さに惚れていたため、これはほとんどディアブロという名前が付いただけの別のゲームをやっているかのような錯覚に陥るほどでした。
 
 2は戦闘で死亡することにペナルティを設けることで緊張感を持続させ、プレイヤーに雑なプレイをさせないように背筋を伸ばさせる働きがありましたが、今作は死亡してもその場で復活でき、ペナルティも武器・防具の耐久率が減るだけという非常に甘いもので、もはやペナルティの役割を果たしてすらいません。
 
 これは2と異なり、ペナルティという緊張感で集中力を持続せるというアプローチを止め、敵を薙ぎ払う爽快感に酔わせプレイを盛り上げ続けるというアクションゲーム路線への仕様変更の影響らしく、ゲームとしてほとんど2と別物といっても過言ではないほど感触が異なります。確かにアクションがど派手で広範囲攻撃がベースになったため大量の敵をスキルで薙ぎ払っていくバトルには爽快感はありますが、その代わりに死亡時のペナルティが無い分どうしてもプレイが大味かつ単調になり、2ではありえなかった眠気を覚えるほど。
 この眠気はシナリオが完全一本道になり、ただひたすら言われた通りに前に進むだけでプレイヤーが考える余地が皆無になったことと、一本道になった割りに異常にダンジョンが長くて平板なことも災いしており、深刻に感じました。
 
 路線を爽快感重視のアクションゲーム寄りに変更したのに、レベルデザインがそれ用に調整されておらず、結果プレイヤーに眠気を感じさせるという隙が生じてしまったのが残念でした。
 
 ただ、やはり2に比べたら格段にアクションゲームとしての楽しさは増しているため、強力な武器を拾い、それを装備し敵をど派手に薙ぎ払うというハクスラジャンルとしての喜びがより体感で味わえるようになったのは大きなプラス要素の一つ。
 
 ですが、自分的には失った緊張感と手に入れた爽快感を天秤にかけると失った緊張感のほうがやや勝る印象です。
 
 

高級感の減少

 
 2にはあった生理的な嫌悪感を催すようなグロテスクな造形の敵や、ギミックなどの雰囲気作りが目減りして、作品的に一貫していたホラー風味が後退。
 今作はとにかく派手でバカでかい建造物(ダンジョン)が次から次に出てきますが、バックボーンとなる世界観設定やシナリオがスカスカであまり効果を発揮できていません。
 そもそも完全一本道でガチガチに縛り、プレイヤーに考える隙すら与えないため、やらされている感が半端ではありません。
 
 目標を提示し、それをプレイヤーが自らの意志で遂行するというプロセスを省いてしまったため、2のほどよい自由度と、しかしどこに行くのか迷うことはないというバランスの妙が崩壊し、自分が今どこで何をやっているのかが不明瞭なままで、前に進んでいるという達成感が乏しい、機械的にクエストをこなしていくだけの味気ないプレイ感になってしまっています。
 
 2にはあった、マップを歩いていると知らず識らずのうちに高レベルの敵がいるエリアに迷い込んでしまいフルボッコにされるといった不意の事態に遭遇するなどの刺激がなく、単調さが支配するマップは見た目が派手なだけでディアブロとは思えないほど薄く退屈です。
 
 

2に比べて良くなった箇所

 
 まず、2にあった、鑑定するまでどんなスキルが付加されているのか不明な武器・防具をショップで買うギャンブルという要素が無くなり、代わりに鍛冶屋で装備をクラフトする要素が追加された点。
 
 新しい装備をクラフトする際には素材が必要となり、その素材はマジックアイテム(スキル付き装備) を分解して手に入れなくてはならないため、片っ端から拾ったマジックアイテムを分解することに。
 このため、2ではマジックアイテムを手に入れても、必要なければ全てショップで売って処分するだけだったのが、新しい装備のクラフト用にどれだけ弱いマジックアイテムでも素材に変換すれば価値が生まれるようになり、アイテム拾いのモチベーションが向上しました。
 
 持てるアイテム量が飛躍的に増えたことで、アイテムを拾う際にいちいち拾うかどうかを悩まなくて良くなった点や、拾った装備で不必要なものはジャンク品指定すれば、一括で分解したりショップに売却できるという便利機能が追加されたこともプラスに働き、2に比べると単純にアイテムを拾うことが快感として機能するように。
 レアアイテムを拾う喜びが増し、かつアクションゲームとしての爽快感が増したことで、拾った強力なレアアイテムを使って戦闘する際の興奮は2を軽く凌駕するほど。
 
 

不満あれこれ

 
 ポーションは店でアイテムとして購入するタイプではなく、シャイニングフォースやダークソウルのような特定ポイントで補充する、ゲームの進行と共に持てる最大量が徐々に増えていくタイプのほうがメリハリがあったはず。
 今作のポーションバイオハザード6のハーブタブレットすら連想させるほどあまりにも存在価値が薄すぎて少し不憫なほどです。
 
 後、ディアブロは物語の楽しさが云々という作品ではありませんが、いくら何でも2のシナリオを引きずり過ぎているため、2で戦った三大悪(ディアブロ、バール、メフィスト)に比べて小者感が強い四小悪(2ではACT.1のボスのアンダリエルやACT.2のボスのドゥリエルと同格)のベリアルやアズモダンが物語的に重要なポストなのがややしょぼい印象を受けます。
 
 前作でナッパやベジータと戦った後に、続編でラディッツと戦わされるようなスケールダウン感を覚えました。
 
 それに、いきなりラスボスとしてディアブロが登場する終盤の展開がやや唐突過ぎるなど、2では終始ディアブロをメインに据えた落ち着いた話し運びだったのに、今作はやや展開がとっちらかっているのが気になりました。
 
 

まとめ

 
 初回プレイ時は、あまりにも神ゲー過ぎた2の続編ということでマイナスの部分ばかりに目が行ってしまいましたが、トータルで見ると2には及ばないまでも、爽快感重視のハクスラアクションRPGとしては十分過ぎるほど楽しませて貰ったため、非常に満足です。
 
 
ディアブロシリーズ

 

 

 

ディアブロIII

ディアブロIII