読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

エンタメ不感症の患部に巻く包帯

好きなものについて語るブログ

ドラゴンクエストビルダーズ / アレフガルドを復活せよ(PS3版)

 

OPムービー

 

点数:80点
 
 

短評

 
 ドラクエであることを最大限生かし、自由度を捨て、親切さを選んだ、最初から最後までおつかい要素だけで構成されたマインクラフトベースのサンドボックスゲーム。
 
 

おつかいに始まりおつかいで終わる、そんなおつかい大好きユーザーの受け皿

 
 自分は指示待ち人間体質なのか、マインクラフトもテラリアもアーク/サバイバルエボルブドもこの手の自由度が高すぎる、目標設定がないクラフト+ビルディング系のサンドボックスゲームはほぼ例外なく肌に合わずプレイ開始数時間程度で飽きて止めてしまうのですが、今作はまったく飽きることなくクリアまで集中力が持続しました。
 
 今作は最初から最後まで徹底しておつかいだけでゲームが進行します。どんな物を作るのかも、どのように配置するかもほぼ指示通りに行わなくてはならず、マインクラフトというよりもどちらかというとダーククラウドダーククロニクルジオラマパートの自由度を上げたような印象に近いです。新しいものを創造するのではなく破壊された街を復元するというコンセプトも、未来の世界で破壊された建物を現代で復活させるというダーククロニクルとほぼ同じ趣旨なので、どうしても印象が被ります。
 

 
 
 好きなものを自由に作るという趣旨の割には終始おつかいゲーム特有のやらされている感が付き纏いますが、それでもいきなりサンドボックス世界という暴力的な自由度が法の荒野に放り出され「好き勝手にやれ」と放置されるよりは数段マシで、ほぼ飽きることもなく的確にプレイヤーに目的を提示し、クリアまで導いてくれます。
 
 プレイする前は漠然とマインクラフトのようなゲームが好きな人を狙っているのかと想像していましたが、プレイすると印象は真逆で、むしろマインクラフトのような極端に高すぎる自由度を負担と感じ苦手とする自分の様な人間こそをターゲットにしているのだということが分かりました。
 
 
 

ドラクエとの思い出が触媒として作用

 
 マインクラフトと同じ、全てがボクセル(サイコロの様な形のブロック)で表現されるボクセルベースのマップのビジュアルは、最初は見知ったドラクエの世界とはまったくの別物でさすがに違和感がありましたが、プレイしているとすぎやまこういち音楽力が半端ではなく、音楽が醸し出す濃密なドラクエ感であまり見た目自体は気にならなくなります。この音楽を聴くだけで体がドラクエに対応したリアリティラインを許容する姿勢へと変化する様は自らのドラクエ漬けの人生を振り返るキッカケともなり、中々感慨深いものがありました。
 
 今作はドラクエというシリーズをプレイしてきたプレイヤー側の記憶を最大限活用するように作られており、アイテム名はお馴染みのやくそうやこんぼう、かわのたてなどで、初めて目にする大量のアイテム名や素材名などをわざわざ覚える苦労を軽減してくれます。ストーリーは初代のラストで勇者が「世界を半分やるから仲間になれ」という竜王の提案を受け入れてしまったため荒廃したアレフガルドという設定にし勇者はなぜそんな選択肢を選んでしまったのかという謎をクリフハンガーとしたり、精霊がしきりに「あなたは勇者ではない」という意味深なメッセージを発し、それは普通のゲームならさほど響かないようなセリフでも、ことドラクエともなると非常にナラティブな感触をともない不穏に残響したりと、いかんなくドラクエらしさを利用し、この手のサンドボックスゲームには決定的に欠けている物語体験を強化してくれます。
 
 
「30年以上の歴史を誇るドラクエをなめるなよ!」
 
 
 という、歴史の積み重ねを最大の武器として行使するスタンスが非常に効果を発揮しており、プレイしやすさや取っつきやすさだけで言えば、システム面・シナリオ面で他の似たジャンルのゲームを軽く凌駕しています。
 
 

不満あれこれ

 
 プレイ中は基本は時間を忘れてしまうほど楽しくはありますが、システム的には問題が山積しており、とても手放しで褒められたものではありません。
 
 まず、ドラクエシリーズ特有の心地よい作業感を伴う要素をお金稼ぎやレベル上げ(RPG的な成長要素)からクラフトに変えたことはまだ良しとして、問題は非常に退屈なリアルタイムアクションバトル部分です。アクションとして退屈な上に、武器の種類が近接武器のみで、ほぼ最初から最後まで同じような武器を使い続けるため、飽きが早く、かつ敵を倒しても経験値ではなくアイテムやクラフト素材しか入手できないため、後半使えない素材しか落とさない敵は倒す意味もないため邪魔でしかありません。出来ればもう少し敵との戦闘にインセンティブと、プレイヤーが自分の好みの戦い方が出来るように剣だけでなく槍や斧やムチや魔法といった武器・攻撃バリエーションが欲しかったです。ただ、テラリアなどをやった後だと武器がアイテムとは独立して存在しているため、武器交換が十字キーだけで簡単に行えるのはラクチンで好印象でした。
 
 その他にも、洗練されておらず使い勝手の悪いインターフェースやら、ブロックを設置する際に置きたい場所に中々置かせてくれないもどかしい操作性やら、せっかくブロックを自由に積み上げられるのならそれをしっかりダンジョン攻略に落とし込んで欲しいとか、メインストーリー進行とビルディングを連動させすぎでもう少しやってもやらなくてもいいサブクエストなどを挟んで息抜きさせて欲しいとか、街が狭すぎて章の最初とラストでそれほど絵的に変化もなくりっぱに街が再建されたという達成感が出ないとか、プレイしている最中はあらゆる細かい部分に不満たらたらで、続編が出るなら改良して欲しいところ。
 
 しかし、今作最大の問題は全4章でそれぞれの章が終了すると今までやってきた作業が全てリセットされ次の章に移るというシステムです。最初はこれを知らずにプレイしていたので、1章が終わり2章に移ると今まで作ってきたものが次の章には反映されず、また同じことを一からさせられるという展開にかなり興が削がれ、プレイのモチベーションが激しく落ちました。そういうものだと納得さえしてしまえばゲーム自体は中毒性があり面白いので気にならないといえばならないですが、この章ごとに積み上げてきたものがリセットされモチベーションがぶった切られる感覚はどうにかして欲しいです。
 
 

まとめ

 
 マインクラフトやテラリアを途中で断念したことによって抱いたサンドボックスゲームへの苦手意識を楽しさに昇華してくれる、そんな作品でした。
 
 

ウォッチドッグス(steam版)

 

トレーラー

 

点数:80点
 
 

短評

 
 クリアまで約20時間超ほど。相変わらずUBIらしい独自の美意識が貫かれたスタイリッシュなハッキング主体の新感覚ステルス要素と、美意識が強すぎて二の次にされるインセンティブの弱さが同時に存在するオープンワールドステルスTPS。
 
 
 

あらすじ

 
 ブルーム社の供給するctOSによりインフラが管理され、あらゆるデジタルデバイスがctOSを介してオンライン状態にある近未来都市シカゴ。凄腕のフィクサー(請負人。ハッカー、ドライバー、傭兵、殺し屋など、なんでも屋のような稼業)であるエイデン・ピアースはとある仕事中に触れてはいけないデータにアクセスしてしまい、何者かに正体を突き止められ報復されてしまう。共に事件に巻き込まれたが死亡したことで、エイデンは姪の命を奪った何者かに復讐するためビジランテ(自警団)として立ち上がることを決意。エイデンが意図せず触れてしまった街そのものを揺るがしかねないスキャンダルと、姪を死に至らしめた黒幕の正体とは・・・・・・。
 
 

街そのものに大がかりな仕掛けを張り巡らせるオープンワールドアプローチ

 
 アサシンクリードパルクールの楽しさを存分に発揮するため、昇って楽しい高い建造物を置いたり、屋根から屋根へ飛び移れるような絶妙な距離感の建物配置をして街そのものをパルクール移動に特化させていますが、今作も似たようなアプローチで、ハッキングというシステムの魅力を最大限引き出そうと、街中のインフラやギミック、NPCであるモブなど、様々な対象へのハッキング要素が散りばめられており、街そのものが手ぐすね引いてプレイヤーを楽しませようと待ち構えているような作りです。
 
 ハッキング要素を抜いたオープンワールド部分のプレイ感としてはグランドセフトオートⅤに酷似している点が非常に多く、移動はそこら辺の車やバイクを盗んで使用したり、十字キーの上でメニューを開いたり、LB(Xboxのコントローラの場合)長押しでアイテム・武器ホイールが開くなどのボタン配置までそっくりで、グランドセフトオートⅤをプレイしていると、すんなり操作に馴染んでしまいます。
 
 ただ、街の作りをハッキングシステムと連動させるためか、街全体のアップダウンが少なく平らで、道もそれほど入り組んでなく、景観も田舎のエリアに行けば自然も多いですが道路沿いは基本はビルばかりでやや単調なため、グランドセフトオートⅤのようにただ車を何となく走らせているだけで景色が移り変り刺激的で楽しいという水準には達しておらず、乗り物移動の楽しさでいうとグランドセフトオートⅤには敵いません。それでもメインはハッキングを用いたステルスが主体のオープンワールドでここまで堂々とした広さと目立たない路地裏などの細部まで丁寧に作り込まれたシカゴの街を見せられると圧倒されるものがあります。
 
 アプローチとして斬新だったのはハッキングを用いたモブキャラ(NPC)への目配せの仕方です。すれ違う人々のちょっとした、でも興味を引くような個人情報を一文表示させたり、別段ストーリー的には意味もない電話を盗聴させたりすることでプレイヤーに能動的にNPCの背景を想像させるというやり方は、ベセスダのNPCに生活サイクルを設定するというやり方とはまた別のNPCへの感情移入のさせ方で、オープンワールドの住人に生命感を与える新しい手法として感心させられました。NPCのモーションが細かい上に、観光地に行けば観光客がいたりスラムの路地裏に行けば柄の悪そうな住人がたむろしていたりとその場所その時間と自然とマッチしたNPCが目に入るのも満足度の底上げをしてくれます。
 
 NPCのモーションで一番驚かされたのは徒歩移動中にハッキングのターゲッティングを間違ってスチームパイプを爆破させてしまったところ、周囲の人々が蒸気が噴き出る道路に向かって一斉に動画撮影のためかスマホをかざした事。こんなに周囲の出来事に対して自然なリアクションを取るNPCを見たことが無かったため、ちょっとだけ感動を覚えました。
 
 それと、今作は道行く人をハッキングすると銀行口座から金を盗んだり、クラフト用の素材を入手したりと、乗り物移動だけでなく、徒歩移動時にも常に目的を設定するという配慮がされていることで、通常はファストトラベルか乗り物移動をしつつ、お金やクラフト素材がなくなったらちょっとだけ徒歩移動を混ぜて街を歩きお金やクラフト素材を入手し、それが終わったらまた元の乗り物移動に戻る、という徒歩移動にちょっとしたお金稼ぎやアイテム集めの機能を持たせています。
 
 乗り物移動がメインのオープンワールドゲームは乗り物移動だけで慌ただしく走り抜けるだけではマップの作り込みの贅沢さを味わえ尽くせず勿体ないため時には徒歩で散策したい・・・・・・とは思いつつ、中々時間の掛かる徒歩移動を選択する気にならないものですが、そこにシステム的に軽めのインセンティブを設定することで街を徒歩移動する行為にも意味を持たせるという気の配り方はありがたかったです。
 
 

監視カメラ「俺の目を盗みやがったな!」

 
 プレイ開始直後は、今作に対する印象はあまりよくありませんでした。何をさせたいのかよく分からないハッキングシステムや、ひたすら終わらないパトカーからの逃走に、大して面白さが理解できないステルスに開始直後3~4時間くらいまでは眠気を堪えながらプレイするという酷いあり様でしたが、システムが肌に馴染んでくると印象がぐっと上向いていきます。
 
 ゲーム開始直後から監視カメラやギミック、警備員、都市のインフラへのハッキング、ファストトラベル用のウェイポイント(中継点)を解放するためのctOSタワー解除にカバーアクションにパルクール、アイテムのクラフトにフォーカス(バレットタイム)、スキルツリー、意味不明な固有名詞の羅列と、とても処理できる量ではない情報の波状攻撃にさらされるため、最初はなんのこっちゃわかりません。
 
 ここら辺はもう少しスマートにならなかったのかと不満に思います。エイデンがビジランテとして立ち上がるべく修業を積むプロセスをチュートリアルとして追体験させプレイヤーにエイデンに感情移入させる、などの工夫がないため、当初はエイデンという主人公とプレイヤーの認識に溝がありすぎて、よく分からない主人公がよく分からない事を言っていて、よく分からないシステムでよく分からない事をさせられる状態を強制的に味わわされるだけの要領を得ないゲーム体験で、かなりきついものがありました。数時間プレイしてようやく「これは攻殻機動隊やマルドゥックスクランブルのバロット的な感覚を味わうステルスなのか!」と気付いてからは何とか持ち味のハッキングステルスを楽しめるように。
 
 ハッキングというやり様によってはどこまでも複雑になってしまいそうなシステムをシンプルに体感できる、視覚の延長として監視カメラを巧みに経由し隠された死角にアクセスするパズル要素。全体を見渡せる優位な立ち位置からのギミックやクラフトアイテムを使用してのほぼワンサイドゲーム的な翻弄と蹂躙の快感。うまく立ち回れば何十人敵がいようと軽々と殲滅させることもできるため、他のステルスではあまり味わえない類の敵に対しての圧倒的な優位性を堪能できます。
 
 ステルスもさることながら、わりと印象に残ったのはハッキングのターゲッティングシステムを応用した設置型の武器である粘着爆弾です。グレネードの要領で投げて壁や床にくっつけ、プレイヤーが任意のタイミングで爆発させられるという、他のゲームでいうとC4やリモコン爆弾などと同じようなタイプの武器で、普通のゲームだと設置型の武器を装備している状態で起爆スイッチを押さなければいけないところを、今作は他の銃火器や投擲武器を装備している状態でも設置状態の粘着爆弾にカーソルを合わせハッキングするだけで起爆させられるため、他の武器との併用がラクチンで、この設置型の武器の起爆にハッキングシステムを用いるスタイルが他のゲームであまり味わったことがない気持ちよさがあります。
 
 粘着爆弾は投擲した直後に空中でハッキングして起爆させることもできるため、投擲武器を持ち替える時間がない際はそのままフラググレネード代わりにも使えたりと、攻撃ボタンと投擲アイテム使用ボタンとハッキングボタンがそれぞれ別れているという珍しい仕様をフルに生かし、あらゆる場面で使用可能なハッキングシステムの恩恵を最も受けた武器です。
 
 自分はこのような特定のシステムを複数の用途で連動させるというアイデアが非常に好みで、バイオハザード(リメイク版)のグレネードランチャー焼夷弾が攻撃用の他にも死体の焼却にも使えたり、フォールアウト4でジャンク品やモンスターの肉にクラフト素材という新しい使い道が生まれたり、モンスターハンターのスキルが各武器で予想外の作用の仕方をして驚かされたりと、「この効果やシステムはこの用途だけで使うものだと思っていたら、なるほど実はこっちとも連動するんだ!」という事に気付いた瞬間、さり気ない工夫の忍ばせ方に唸らされます。
 
 なのにも関わらず、ハンドガンやらサブマシンガンやらアサルトライフルはバリエーションが多いのに、ハッキングボタンで起爆させられる設置型武器は粘着爆弾のみで、なぜハッキングシステムと連動する、今作の独自性をストレートに味わえる武器のバリエーションがないのか疑問です。これ以外にももっとトリッキーな使い方ができるハッキングで作動させられるタイプの武器が欲しかったところ。
 
 

不満あれこれ

 
 もはやUBIのオープンワールドでは定番の感もあるインセンティブ(報酬)の弱さです。バリエーションが乏しいクラフトも、数が多いだけで入手する喜びがほぼ皆無な銃器も、大して解放したいとも思えない程度のスキルツリーも、毎回なぜここまでUBIはインセンティブ音痴なのか疑問。
 
 ディアブロ3の影響を強く受けたであろうハクスラでクラフトがあり、かつRPGシューターなのにやはりインセンティブが弱いディビジョンなどを見るにつれ、UBIのインセンティブ設定のバランス感覚の狂い方は深刻なのかも。同じような要素を中毒性の権化のようなボーダーランズなどに実装させたら数百倍面白いだろうなと考えると、UBIのインセンティブへの感覚のズレが絶望的にすら思えてきます。
 

 
 サスペンスが効いたストーリーが面白すぎて先が気になる、でも、レベルアップすればするほどハッキングやステルスの快楽がどんどん増していく、でも、お金を貯めれば車やバイクや拠点を改造できるでも、とにかく何でもいいのでもう少し目先のモチベーション維持をアシストする要素をきっちり実装して欲しいです。
 
 UBIのゲームデザインは毎回工夫が凝らされコンセプトも美しくて大好きですが、毎度毎度常に同じ弱点を克服せず放置する姿勢にはうんざりします。
 
 それと、システム周りに比べると些細なことですが、主人公が一応シカゴの街から悪を一掃させようとしているという設定の割に普通に住人を巻き込みまくり死者まで出るようなハッキングを平気でしたり、ただの警備員を殺害しまくったり、街の住人の銀行口座から金を盗みまくったりと、主人公の設定と、システムがやらせようとしていることがちぐはぐなのが終始ノイズに。
 
 特に意味もなく何の気なしに信号機をハッキングしたら車が衝突しNPCのドライバーが死体となってドアからはみ出ているのを見た時、「今自分がやったことって主人公の姪がされたことと同じだよな・・・・・・」と罪悪感でやるせない気持ちになりました。NPCに感情移入させるような工夫をわざわざしておいて一方ではNPCをゴミの様に扱いもするというバランス感覚がやや不快です。
 
 

まとめ

 
 オープンワールドとして堂々としている点や、ハッキングを用いるステルスや戦闘が斬新という長所と、相変わらずシナリオのクリフハンガーが弱めでかつシステム的にもインセンティブが弱いという短所が両極なバランスなので、結果的に印象としてはプラスマイナスゼロに近いものになってしまいます。
 
 ただ、UBIのクールなゲームデザインに惚れている身としては、ハッキング主体のステルス体験が斬新だったのと、ストーリーのほうも全体としては単調でしたが、バンカーという都市伝説で語られる街中の全てのネットワークを掌握できる秘密基地のような施設を探すという展開は相当ワクワクさせられたり、エイデンが姪を失ったトンネルをゲーム内で実際に走るというシチュエーションに今までゲームで感じたことのない緊張で冷や汗をかいたりと、今作でしか味わえない貴重なゲーム体験もできたので非常に満足でした。
 
 
 

バイオハザード HDリマスター(steam版)

f:id:chitose0723:20170409000755j:plain

 

トレーラー

 

 

点数:90点

 
 

メモ

 
元のゲームキューブ版は未プレイで、リメイク版は今作が初プレイなので、HDリマスター版というよりもリメイク版そのものに対する感想
 
 

短評

 
 リファインされた洋館のレベルデザインの完成度の高さと、魅力的な新システムの追加でオリジナル版の面白さを損なうどころかオリジナル超えの偉業を達成した大傑作リメイク。
 
 
 

リノベーションで新生を果たした洋館

 
 リメイク版はけっこうな割合でオリジナル版にあった「凄いものを作ってやる!」というその時代の作り手の熱量がごっそり消失し、無味乾燥な今風なグラフィックとシステムに差し代っただけというケースが多いため、あまり良い印象がなく、恥ずかしながら今作もずっとスルーしていましたが、その判断は誤りでした。
 
 元々圧倒的な完成度のオリジナル版でしたが、今作はさらに的確な手の加え方でオリジナル版の持つ長所を伸ばすような改良がなされており、そのツボを外さないバランス感覚はさすが初代のディレクターだった三上真司さんがそのまま続投しているだけのことはあり、ビジョンに狂いがありません。
 
 アイテム入手の快楽性を強化する消費アイテムマネジメント要素のバランス感覚、探索する喜びに満ちた魅力的なレベルデザインが施された洋館、メアリーセレスト号感が漂う時間の流れが静止した様な非現実的で静謐な空間に屍者が蠢いているという舞台演出の妙と、オリジナル版に元々あった長所はそのまま、あるいは強化され、そこに死体の焼却システムやディフェンスアイテムの導入というオリジナル版の良さをアシストするような改良が加えられ、なんとも贅沢な仕上がり具合で、プレイ中あまりの完成度に感動で胸が震えました。
 
 特に感心させられたのは頭部を吹き飛ばすか、死体を焼却せずそのまま放置するとクリムゾンヘッド(移動速度と攻撃力が強化されたゾンビ)化するという新要素と絡めた洋館内の新ルートの追加部分です。オリジナル版と比べ目的の場所に移動する際に複数のルートから好きに選べるようになったことでどのルート上の敵を排除するのか、どのルート上の敵は放置するのかを考える必要が生じました。意味もなくゾンビを倒してしまうと後半クリムゾンヘッド化して復活してくるため、目の前の敵を倒していいのかどうかすら悩まされることに。
 
 今作はプレイヤーの思考を促がし続ける要素が大幅に強化される様なゲームデザインになっており、どんなアイテムを持ち歩くか、クリムゾンヘッド対策を考えつつゾンビをどれくらい倒すか、それを灯油で焼却するか、グレネードランチャー焼夷弾で焼却するか、ディフェンスアイテムである閃光手榴弾で頭部を吹き飛ばすか、そもそも戦わず放置するか、どのルートを通ると最短で目的地に辿り着くのか、と、プレイ中常に二手、三手先の対策を考え頭がフル回転し続けているので大変心地いいです。
 
 オリジナル版で辿った線を再びなぞるノスタルジックな時間と、そこから脱線し新たな刺激を味わえるフレッシュな時間。この二つの線が交互し螺旋を描いていく感覚は記憶の参照元であるオリジナル版が存在するリメイクという形でないと味わえない大変貴重な体験で、オリジナル版の完成度の高さに改めて想いを馳せ、それを上回ってみせるリメイク版の完成度に感嘆のため息を漏らす・・・・・・双方にとって幸福な、これぞ理想的なリメイクの在り方だと思います。
 
 
 

不満あれこれ

 
 リファインされた洋館は大変素晴らしいのですが、逆に洋館以外の場所の単調さが相対的に浮き上がってしまったのは残念。実績を全て解除するため10周近くプレイしましたが、洋館は何度周回プレイしても飽き辛いレベルデザインのため、それほど作業感がありませんが、それ以外の場所は割と一本道でルート選択を選ぶ楽しさがないため、ひたすら長い距離を歩かされるだけで少々かったるいです。ゾンビを倒すにしてもアイテムさえ回収してしまえば二度とその場所には足を踏み入れない場所がほとんどなので、クリムゾンヘッド対策などする必要もなく葛藤も生じません。
 
 クリムゾンヘッド対策をベースに再構築された洋館と、オリジナル版のエッセンスそのままの他の場所でレベルデザイン格差が生じてしまっており、オリジナル版は別館も中庭も研究所も楽しかったのですが、あまりにも洋館だけ豪華にライトアップされすぎたため、それによって生じてしまった濃い影に隠れてしまった感じです。
 
 後、オリジナル版に比べ新マップが追加されたことの功罪でどうしてもクリアまでの1プレイの時間が移動時間分延びしてしまうため、唯一テンポ感だけはオリジナル版のほうが上かもしれません。
 
 
 

まとめ

 
 バイオハザード、幸せな時間をありがとう。
 
 
 
 
 

 

  

バイオハザード オリジンズコレクション Best Price
 

 

ファークライ3(steam版)

 

 

トレーラー

 
 
点数:80点
 
 

メモ

 
日本語化してプレイ
フルHD(1920×1080)、映像設定はウルトラ、60fpsでプレイ
 
 
 

短評

 
 クリアまで約20時間超ほど。UBIのオープンワールドゲームらしくシステムのインセンティブ(報酬)が弱めだが、ノリのいい作風と、テンポの良さを絶対の方針としたようなシステム周りの相性が抜群で非常に優れたバランスに仕上がっているアクション特化型のオープンワールドステルスFPS
 
 
 

インセンティブ不足を操作の快楽性で強引にカバー

 
 UBIやロックスターのオープンワールドゲームは、ベセスダのエルダースクロールズやフォールアウトなどのような自由度の高い成長システムなど、プレイのモチベーション維持をサポートしてくれるような強力なインセンティブ要素を実装しているワケではなく、どうしてもプレイ中はストーリーを追うだけでシステム的には物足りなさが付き纏うのですが、しかし今作はオープンワールドにしては破格な操作性の良さから来るシューターとしての魅力が強力で、相変わらずのインセンティブ不足をやや強引にステルスアクションやシューティングの楽しさがカバーしているのが特徴的です。植物の採取や野生動物の狩りと連動させた手軽に出来るクラフトは好印象として、ほとんどアクションの強化と拡張に特化したような深みも自由度も選ぶ喜びもさほどないスキルツリーも、バリエーションが乏しいカスタマイズパーツを装着するだけで今一つ物足りない武器カスタマイズ要素も、本来なら不満点としてカウントされそうなものですが、今作に限っては辛うじて優秀なアクション部分を補助するような働きをしているためインセンティブ不足を誤魔化せているといった印象です。
 
 今作は徹底的にテンポの良さを追求し、かつ管理されており、ファストトラベルも乗り物移動も、ステルスも銃撃戦も全ての要素がもたつかずに行われるためゲームプレイに躍動感の様なものがあり、息をつかせる瞬間がほとんどありません。話を進めるためのメインミッションをこなしつつ、UBIのオープンワールドゲーム(アサシンクリードなど)ではお馴染みの高い場所(今作では電波塔)に昇り、マップに精細な情報を表示させる要素、もしくは敵の占拠するアジトを襲撃し全滅させ、ファストトラベル用の中継点(ウェイポイント)とし活動範囲を徐々に広げる、という非常に分かりやすいプレイ目標も設定されており、次に何をすればいいのか迷いが生じる隙を与えません。
 
 
 

オープンワールドの贅沢さが味わえる地形演出

 
 自分がオープンワールドのゲームをやっていて最も贅沢だと思う瞬間は、目指している場所がかなり遠方にあるのにも関わらず展望が良くハッキリと視認でき、そこに確かにあるんだという存在の質量を感じ取れる時です。目標となる場所と今いる地点がエリアチェンジで断裂されておらず、地続きで繋がっているということに喜びを覚え、その感情があの場所まで何とか辿り着きたいという欲求に転化されます。
 
 今作では、マップに精細な情報を表示させるために昇る電波塔が遠景でも存在感を放ち、舞台となる自然豊かな島に彩りを添えています。
 今作は高い場所から乗り物扱いのハンググライダーや、後半はいつでも自由に使えるウィングスーツで滑空させたいためか、高低差がかなり激しいような地形をしているのと、自然豊かな無人島に電波塔という人工物は良い意味で場違いで目立つため、高所に建てられているそれが非常に目立ち、存在感を発しています。
 この地形デザインのおかげでうまく高い場所に聳え立つ電波塔へ意識が吸引され、その堂々たる景色から目を離すのが勿体なく感じられるほど。
 
 最初は高い場所にプレイヤーの意識を集中させ、電波塔を昇り終えると次に周囲の低い場所へ視線を誘導するという視線誘導テクニックの手並みも鮮やかで、ここまで地形の魅力的な見せ方に感心させられたオープンワールドゲームは初めてです。
 
 
 

作品のトーンとシステムを同期させる偉業

 
 デウスエクス/ヒューマンレボリューションをプレイした際に主人公が機械化した体に慣れていくという設定と、プレイヤーがシステムに順応していく感覚がリンクして、スキルツリーで能力解放されていく過程に一体感を覚えましたが、今作もノリの良い作品トーンの器たるシステム自体がまるで編集が抜群の映画か、コンテが優れたアニメ、もしくは漫画のハンター×ハンターの気持ちのいいコマ割りや語り口を味わうかのようなテンポの良さで内容と同期しており心地良いです。このような表現したい内容(物語・舞台・雰囲気)と表現手法(システム)が同期すると、好ましい相乗効果が生まれ、ゲーム体験をより味わい深いものにしてくれます。
 
 自分はオープンワールドやらステルスやらFPSやらというジャンル的な満足度よりも、このようなシステムとゲームのトーンが溶け合っている官能的なゲームデザインを堪能できることが何よりも喜ばしいので、これが味わえただけでも満足です。
 
 
 

不満あれこれ

 
 特に不満らしい不満もありませんが、プレイ中何度も困らされたのは遠くの動物や人にトドメを刺した際、下が背がやや高いような草だと死体が隠れて見失ってしまい、動物の皮を剥いだり、アイテムを回収できなかったことが多々あったこと(倒した敵を見失うということはフォールアウトでも普通に起こることなので、今作というよりもアイテム未回収の敵を目立たせる工夫をしないゲーム全般の問題点かもしれません)。
 
 後、やはりUBIのオープンワールドゲームだけにインセンティブとして機能するシステムが貧弱で、物語を進行させるという動機づけが無くなると、途端にやる気が激減してしまう、システムよりもアクション頼りな作りなのもいつも通り。
 
 
 

まとめ

 
 ゲーム自体は良くも悪くもかなりさっぱりしており、強烈に記憶に刻まれるというタイプの作品ではありませんが、プレイヤーを楽しませることだけに特化して作られているため、アクション要素以外のシステムの貧弱さに目を瞑れば面白さは折り紙付きです。
 
 
 

余談

 
 イーライ・ロス監督の映画からの影響が非常に強く、監督作の“ホステル”や、役者としての出演だけで監督はしていないですが、ほとんどイーライ・ロス作品と同じアプローチの“アフターショック”を見ておくとより今作のコンセプトが明解に理解できるかと思います。
 
 
 

 

 
 
ファークライ3 日本語版

ファークライ3 日本語版

 

 

 

アフターショック Blu-ray

アフターショック Blu-ray

 

 

Submerged(サブマージド)(steam版)

f:id:chitose0723:20170311212812p:plain

 

トレーラー

 

点数:70点
 
 

短評

 クリアまで約3時間ほど。アクションアドベンチャーとしてはただの凡作だが、プレイヤーに姉弟の背景を自然と想像させる様なシンプルながら丁寧でセンスの良いストーリーテリングが魅力的。
 
 
 

少女を乗せたボート(漁船)は不穏さを推進力に水没都市をゆく

 
 低価格のインディペンデントゲームだけにグラフィックや操作性はとてもフルプライスゲームと比較にはなりません。それでも舞台となる水没都市にはしっかりと表情があり、昼には陽光が降りそそぎキラキラと輝く水面に癒され、一転夜の墨汁を垂らしたような薄気味悪い暗い海は自然への原始的な恐怖を呼び覚まします。
 
 美しさと不気味さが紙一重のバランスで成立している背景には非常に分かりやすく上田文人作品(特にワンダと巨象)の影響が垣間見られ、特に怪我をして瀕死の弟をベッドに寝かしつけ、その場所をベースとして周囲を探索するという作りがいくらなんでもワンダ過ぎるきらいもありますが、水没都市という独自の舞台が魅力的なので気にしないことに。
 
 ゲームは水没都市を探索→弟を助けるための物資がある建物を発見→ひたすら高い建造物をよじ登り物資を回収→また探索・・・・・・と、延々このワンパターンの繰り返しのため、正直最初は刺激に乏しく単調極まりない作業ゲーのような印象を受けました。
 唯一水没都市のあちこちに少女が乗るボートの加速用のブーストゲージを増やすためのパーツ(壊れたボート)が点在しこれを発見できるとやや嬉しい程度で、とてもアクションアドベンチャーとして及第点の面白さには達していない・・・・・・のですが、物資を回収するとオープンされる最初はなんのこっちゃ分からない子供が描いたようなヒエログリフっぽい記号的な絵がそこそこ集まってくると状況が一変することに。
 
 実はこの絵が姉と弟がこれまで辿ってきた経緯を説明したものだと分かった瞬間、今作に強烈な物語が立ち上がります。なぜ二人は漁船に乗っているのか、なぜ弟は大怪我をしているのか、なぜ姉はそこまで弟に献身的なのか、多くの謎が物資を回収するごとにオープンされていくため、ぐっとサスペンス要素が増し、話の先が気になって仕方がなくなります。
 
 二人がこうなった経緯が分かると、物悲しさを湛えたようなBGMが実は姉の贖罪の意識を反映しているかの様に聴こえたり、体が徐々に変色していくのも罪の意識が体を蝕んでいるように見えたりと、この作品の景色そのものが変質する事態に。プレイヤーに対して一切説明的なことをせず、ただ子供の描いたような絵を見せるだけで頭の中に子供たちの過去を想像させてしまうストーリーテリングの巧みさに頭が下がりました。
 
 この想像力を掻き立てる手法から頭に浮かんだゲームが、こちらは兄が妹を探すLIMBO(リンボー)でした。
 
 もしかしたら体が蝕まれていく姉の瞳に映るこの美しくすらある水没都市は、リンボーで妹を探すために兄が見たような地獄巡りの舞台と近いものなのではないかと考えさせられたり、プレイ中はあれやこれやの想像が止まらず、非常に密度の濃い物語体験を味わえました。
 
 

まとめ

 
 アクションアドベンチャーとしては凡作ですが、物語体験としては強く印象に残るステキな作品です。
 
 
 
 

 

 

賭博黙示録カイジ(漫画)

 

点数:90点
 
 

「目を覚ませ・・・・・・でないと手遅れになるぞ!」と漫画で警句を発し続ける、通過儀礼の作家福本伸行

 
 非現実的な空間やシチュエーションの中で極限状態を疑似体験させるデスゲームやそれに近いアプローチの作品は多々ある中で、カイジシリーズはそれらジャンルの得意とする手に汗握るサスペンス性よりも、むしろ作者の愚直なまでの「真剣に生きろ!」という誠実な訴えの印象のほうが強く残ります。
 
 ギャンブルを通じて己の心の弱さや甘えと向き合い、毎日を無為にダラダラと消費するように生きている実情に気づかせ、人生に真剣さを取り戻させる・・・・・・カイジシリーズにとってギャンブルは勝つことが目的ではなく、そのプロセスで己と向き合い、甘えを脱皮しなければならないということに気付かせる試練の役割を果たしています。
 
 “伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!”という、ゲストが自分の思い入れのある映画を紹介するという趣旨のラジオ番組に福本伸行先生がゲストとして出演した際に選んだ映画が黒澤明監督の“生きる”でした。
 
 
 映画評論家の町山智浩さん曰く“生きる”はイングマール・ベルイマン監督の“野いちご”同様、晩年に過去を思い出していく過程で自分の人生が無意味だったことに気づくという内容のトルストイの“イワン・イリッチの死”が元ネタの映画だそうです(“イワン・イリッチの死” から直接の影響は無いでしょうが、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の“バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)”も似たような題材)。
 
 
 
 これらの作品で主人公に精神的な死と再生をもたらす老い(寿命)や癌(病気)という逃れられない運命を試練と解釈し、命を懸けたギャンブルに置き換え、それを乗り越えることで何も晩年まで待たずとも死と再生の通過儀礼とする・・・・・・“生きる”という映画に衝撃を受け、その受けた衝撃をそのまま自分なりに作品へ落とし込み次の世代へ伝えたいという衝動が福本伸行という作家の原動力であるなら、福本伸行作品を読んで影響を受けた自分にとってはカイジという作品はまさしく福本伸行先生にとっての“生きる”と同じでした。
 
 漫画を通じて魂のメッセージを読者に届けるという勝ち目の薄いギャンブルに興じる様は、福本作品の主人公たちの行いに通じる部分があり、その生き様がより作品に凄みをきかせる勝因になっているのだと思います。
 
 

 

賭博黙示録 カイジ 1

賭博黙示録 カイジ 1

 

 

生きる [Blu-ray]

生きる [Blu-ray]

 

 

サンクタム(Steam版)

f:id:chitose0723:20161216181203j:plain

 

システム紹介

 

点数:75点

 
 

短評

 
 タワーディフェンスFPS要素(アクション性)と簡易的なミニスケープサンドボックス要素(マップ内に好きにオブジェを配置できる自由性とパズル性)を足すというコロンブスの卵的な発想が素晴らしい。ただ、中毒性は強いもののプレイが間延びしがちで作業感が強めだったりと不快な方向の中毒性を発揮してしまっており、プレイ後の後味が悪く、手放しでは褒められない作品。
 
 

敵の進行ルートをプレイヤーが管理できるなんてなまいきだ。

 
 同じくタワーディフェンス的な要素を持つ“勇者のくせになまいきだ。”のように、敵の進行ルートをプレイヤーが管理しながら、ルート上にトラップ(タワーや床)を設置してそれらをコンボさせていくというパズル的なコンボ要素が強く、この楽しさが尾を引き、ゲームを止めた後もしばらくは頭の中でコンボをあれこれ考えてしまうほど癖になります。
 
 勇者のくせになまいきだ。もコンセプトは面白いのですが、ややランダム要素が強めで、コチラが期待する様な効果をうまく発揮してくれずもどかしさを感じる局面が多々ありましたが、こちらはそのようなランダム性を排し、プレイヤーが介入するアクション要素を盛り込んだためサプライズ的なことが起こらない代わりにほぼプレイヤーの想像通りの結果を叩き出してくれ、自分的には今作のほうがより肌に合いました。
 
 

ミニスケープサンドボックス的な要素という魔法のスパイス

 
 タワーディフェンスというジャンルは、プレイヤーが行えることを簡略化することによって取っつきやすいという長所と、それによってプレイの幅が狭くなり、非常に作業化・マンネリ化しやすいという短所があります。今作はアクション性を取り入れたり、パズル性のあるミニスケープサンドボックス的な要素でプレイヤーに思考を促したりで、やや取っつきやすさを犠牲にしつつ短所であるマンネリを抑制する様なバランスになっており、ジャンルそのものの弱点を認識しながらそれを克服し、タワーディフェンスというジャンルの持つポテンシャルをフルに引き出そうという姿勢が窺え、感心させられました。
 
 敵を観察しながら敵ごとに設定された弱点を突くようにマップ内に自由にブロック(タワー)を設置し、それらをコンボさせるというアプローチはタワーディフェンスジャンルの持つ長所である取っつきやすさをなんとか維持しつつ、弱点である戦略性の薄さをカバーする働きもこなし、好印象でした。
 
 ただ、問題はアクション性のほうで、これはタワーの設置の仕方がうまくできず、敵の弱点を突くようなコンボになっていなくても無理矢理にプレイヤーが介入して敵を撃ちまくるという力技で解決できてしまうため、やや本作のパズル性に対して本末転倒な感もあります。
 
 今作の良くできたパズル性のあるシステムに慣れれば慣れるほど、敵をコンボではめて倒す快感に対して、強引に解決できてしまうアクション性は逆に作業感が強く、マンネリ回避のための刺激や、タワー設置の際の些細なミスを人力でカバーできる機能は果たしていますが、アクションそのもので楽しませてくれるというレベルには達していません。欲を言えば二段ジャンプやブーストダッシュ機能などを入れてもっと高速にフィールド内を駆け巡れるような爽快感が欲しかったです。
 
 

少なくない不満あれこれ

 
 今作は確かに中毒性が強いのですが、密度の濃いゲーム体験であっという間に時間が経ってしまうという良い中毒ではなく、やたらセッティングに時間が掛かったり、単調でテンポの悪い敵のウェーブ量の多さでプレイ時間が水増しされていたりと、ややプレイ後に時間を損したようなダウナーな後味に陥りやすい作業感が強めの不快な中毒性です。
 
 プレイヤーが操作するというアクション性が強いのとCo-opに対応しているためか、タワーディフェンス系のゲームにはほとんど標準装備されている様なプレイ速度を早めるという機能が無く、タワーディフェンスジャンルの持つ最大の弱点である同じ場所から敵がワラワラと湧いてくるのを処理するだけという単調さが露骨に剥き出しになる瞬間が多く、勿体ないところ。
 
 後、元々敵のヘルスバー(HPゲージ)が細くて見えづらいことプラス、なぜかプレイヤーが銃撃して与えるダメージ量は可視化され表示されるのに、タワーで与えたダメージは表示されないため一体タワーがどれくらい敵にダメージを与えているのかが非常に分かり辛く、このせいでタワーのアップグレードをしてもいまいち効果が実感し辛い面があります。これはプレイのモチベーションに直結してくるためなぜタワーが与えるダメージ量を分かりやすくしなかったのか理解に苦しむところ。
 
 

まとめ

 
 根本のアイデアは非常に素晴らしいのですが、バランス調整部分に不備が多く、プレイが間延びしてゲームに時間が吸われるような不快な中毒性を持ってしまっており、そこが悔やまれる限り。
 
 ただ、タワーディフェンスというジャンルにはまだ秘められたポテンシャルがあり、アイデアと工夫次第で伸びしろが幾らでもあるという可能性を見せて貰えたので大変満足でした。
 
 
 

 

How to Survive(ハウツーサバイバル) (Steam版)

f:id:chitose0723:20161206183027j:plain

 

トレーラー

 

点数:80点

 
 

メモ

 
フルHD(1920×1080)、映像設定はウルトラ、60fpsでプレイ
 
 

短評

 
 クリアまで6~7時間。非常にコスパの高い見下ろし全方位型クラフトサバイバルゾンビアクションシューティングRPG。低価格ながら、クラフト・サバイバル・スキルツリーなど一通りのシステムが過不足なく完備されており、フルプライスゲームにも引けを取らない中毒性を発揮してくれる良作ゾンビゲー。
 
 

シンプルながら魅力が溢れるクラフト

 
 今作は低価格ゲームなだけにフルプライスに比べるとボリュームが少な目ですが、その分テンポよく次から次に強力な武器がクラフト可能なため、ダラダラとした箇所がある大作ゲームよりも、むしろ密度が濃い印象すら受けます。
 
 マップに無造作に落ちている一見役に立ちそうもない、どのような用途に用いるのか不明瞭なアイテムがクラフトで意外な組み合わせをさせることで有用なアイテムに生まれ変わるのはそれ自体がDIY的な手作り感があり楽しいです。
 
 クラフトは一部の加工する様なアイテム以外は一度素材同士を組み合わせて別のアイテムにしても、いつでも組み合わせを解除して素材の段階まで戻せるという便利なシステムのおかげで失敗という概念がなく、非常に快適。
 
 シンプルながら抜群の面白さの武器クラフトもさることながら、ブーメランなど何度でも使い放題の武器だと連射が不可能で敵が多い場合対処し切れず、弓矢は銃ほど使い勝手がよくないものの矢を回収できるため節約に向き、銃は強力ゆえにあっという間に弾切れするなど、弓矢や銃の残弾確保、チェーンソーの燃料管理など、一度作った武器を運用していく作業にも常に心地よい集中力を求められ続け、巧みなゲームバランス調整に感心させられます。
 
 ただ、持てるアイテムの絶対量が少ないということがせっかくの楽しいクラフトシステムの足を引っ張っており、やや不満。
 しかも、ハクスラ系のRPGにあるような、
 
アイテムをたくさん拾う→放出する(売る・預ける・消費アイテムに変換)→身軽になってまた拾う
 
など、溜まったアイテムを気持ちよく処分して身軽になるというサイクルがないため、慢性的にアイテム量が上限いっぱいのままで、何かを拾おうとすると常に何かを捨てる必要に迫られるため、もっと気持ちよく物を拾わせて欲しかったです(アイテムを捨てても消えずに残りますが、初回プレイ時は本当に消えてしまわないか不安で持ち歩いてしまいます)。
 
 

夜を生き抜け!

 
 ゾンビが闊歩しているのにも関わらず昼はのどかですが、夜になると一変。音楽は不気味になり、視界が悪く落ちているアイテムはほとんど見えず、ゾンビと違い常にプレイヤーを追跡してくる敵が出現するなど、同じマップでも昼夜でまったく印象が変わります。
 
 これにより確かに夜が明けると敵の襲撃から解放されほっとするというプラスな効果もあるにはあるのですが、それよりも何も見えないという視界の悪さのストレスのほうが強く、正直夜が鬱陶しく感じます。夜にしか見えないアイテムがあるとか、夜にしか発生しないイベントがあるとか、わざわざ夜に出歩くことにインセンティブ(報酬)を設定しないと、現状ではただのストレス源にしかなっていません(スキルを獲得すると夜に敵を倒すと経験値量が上がる程度)。
 
 セーフハウスで睡眠を取ると一気に時間が進むため、夜が訪れたら近くのセーフハウスで眠りたいのですが、わざわざ夜に出歩かせたいのか一定量疲労していないと眠れないというシステムのため、疲労していない場合夜を回避する術がなく、夜が来る度にじっとしているのも時間の無駄なので視界の悪い中マップを探索し、その都度ストレスが溜まり嫌になります。
 
 のどかな昼と過酷な夜の対比は非常にメリハリがあり好ましいのですが、これはプレイヤーがうっかり時間を気にしないでマップ内を探索していたら夜になってしまい酷い目に遭う程度に留めておけば良かったものの、セーフハウスにいるのに夜をやり過ごせないというのは勘弁してほしいです。夜そのものではなく、ゲーム内時間を意識させ「うかつに出先で夜になったら大変な目に遭う」という緊張感のほうをむしろ際立たせて欲しかったところ。
 
 

不満あれこれ

 
 パッドだと右スティックを敵方向に倒すとブーメランや弓、銃などで敵をロックオンできるのですが、これがスティックということもあるのか非常にロックオンが緩く、しょっちゅうロックオンが外れ弾が明後日の方向に飛んでいく事態が多発し、ストレスになります。
 
 後、不満とはやや異なりますが、遠距離用の武器と近接用の武器は両方同じ攻撃ボタンで攻撃するため、武器交換ボタンで切り替えるのですが、持ち替えたい武器に瞬時に持ち替えるのにややコツがいり、これが慣れるまでは大変です。敵群の中には、遠距離用の武器で倒さなければならない敵と、チェーンソーなど近接武器で倒すと楽な敵などが混じっているため、敵の種類ごとに瞬時に遠距離用と近接用の武器を持ち替えなければならず、これが大量の敵に囲まれていて焦っている時などは高確率でミスを連発し、敵にダウンさせられると無敵時間が短いことも祟ってそのままなぶり殺しにされる局面が多いため、遠距離用の武器と近接用の武器を差別化し、攻撃ボタンを分けるなどしてくれたらありがたかったかも。
 
 

まとめ

 
 細かい不満も多いですが、基本は楽しくクラフトしてゾンビを殺戮しまくる爽快感溢れるゲームなので、プレイしている最中は欠点はそれほど気にはならず、ずっと幸せな気分に浸りっ放しです。